読書感想:黒白の勇者1

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はもし異世界に急に転移して、戦い方は武器が教えてくれるから武器を取れ、そして戦えと言われてしまったら、いきなり実戦に臨めるだろうか。臨めるという読者様に重ねてお聞きしたい。貴方は本当に、何のためらいもなく、闘いに臨めるだろうか。

 

とある名門高校の一年生であり、剣道に熱中していたけれど試合で勝てずコンプレックスを抱えた少年、雪斗(表紙中央奥)。彼には憧れの存在である二人の少年少女がいた。

 

片一方の少年の名は海維(雪斗の右隣)。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、更には大企業の御曹司という完璧なプロフィールを持つ生徒会副会長。

 

片一方の少女の名は芽衣(表紙右)。医者を目指していたがオーディションによりアイドルになり、瞬く間にスターダムを駆けあがった美少女。

 

 憧れの存在ではあるけれど近づけず、遠くから見つめるだけだった、そんな何も変わらぬ筈だった日常。だがしかし、そんな日常はいきなり壊れ、彼等は非日常へと巻き込まれる。彼等はクラス纏めて一つが、異世界へと転移してしまったのである。

 

かの異世界は、信奉者を従えし邪竜が人間世界への攻勢を強め、人間が「霊具」と呼ばれる武器を用いて対抗する異世界

 

その世界の騎士であり、彼等の護衛役となった少女、セシル(表紙左)と共に、彼等は願われる。どうか聖剣の担い手となり、そしてその仲間として邪竜を討伐してほしいと。

 

 しかしいきなり言われてもどうしようもない、それもまた当然である。何故なら彼等はこれまで戦いとは無縁に生きてきた一般人であり、彼等に告げられた願いとは、命の危険があるかもしれぬ戦場へと出てほしいと言う事に他ならぬのだから。

 

迷い、悩み、それでも出た戦い。雪斗は自分の力不足を苛み、騎士達が犠牲になった光景を目に焼き付け。その胸の中、一つの願いを宿す。

 

 それは、「自分の手で世界を変えたかった」という本当に自分がやりたかった事。けれど今の自分では力も足りぬし、人望も足りない。だが、そんな彼へと海維は真っ直ぐに手を差し伸べる。

 

「僕と共に、世界を変えるべく・・・・・・手を貸してもらえないだろうか?」

 

それは、同じ願いを抱いたが故の男の言葉。同じ場所を見ていけると信じれる言葉。

 

 

  この作品は何処までいっても等身大である。そして誰もが決して無敵ではなく、まだ弱いに過ぎるからこそ圧倒的な現実感を持っている。

 

だからこそ一筋縄ではいかぬ、骨太な面白さがあるのは確かである。

 

王道なファンタジーが好きな読者様、等身大の子供達が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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