読書感想:きゅうそ、ねこに恋をする

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は所謂ビビりと呼ばれる人種であろうか。もしそうであるのならば恥じる必要はない、何故ならば驚くと言うのは人間の反射的行動の一つだからである。

 

では何故こんなことを聞いたのかというと、それはこの作品の主人公が言わばビビりと呼ばれる属性だからである。

 

その主人公の名は紡(表紙左)。表紙絵からして既に涙目でビビり感の溢れている彼はその印象の通りビビりである。具体的にはチワワに吠えられただけで逃げてしまう程である。そして勉強も運動も全然ダメな少年である。

 

そんな良い所なし、取り得無しの彼はひょんな事から苦手に感じている一人の少女と接点を持つ事になる。

 

 彼女の名前は雫(表紙右)。ぬいぐるみの企業の社長令嬢である級友、愛奈に仕えるメイドであり美貌も才能も持ち合わせるも、無表情で何処かミステリアスな少女である。

 

二人の接点、それはお互いの親友。何を隠そう、雫の親友でもあり主人でもある愛奈と、紡の親友である匠真はお互い素直になれぬだけで、実はお互いに両片思いの状態だったのである。

 

そんな二人のサポートをし二人を結び付ける為に、協力関係となる二人。

 

 そして紡は雫に振り回される事となり、雫は知る事となる、紡に隠された善性と優しき人間性を。

 

ある時はいきなり壁ドンされたり、またある時は膝枕のリハーサルとして膝枕されたり、更にある時は下見と称して疑似デートしてみたり。

 

「あなたは私の友達なのでしょう? で、ですから、体調が優れていない友達を一人で置いてけぼりにするのは、心配ではないのですか?」

 

雫は知る。自分が倒れた時に心配してくれた紡の優しさを。

 

「そんなことはありません。根津くんが私のことを守ろうとしてくれて・・・・・・嬉しかったです」

 

雫は知る。暴漢に絡まれた時、挫けそうでも必死に守ろうとしてくれた紡の勇敢さを。

 

同じ日々を積み重ねる中、徐々に二人はお互いの事を知っていく。そして二人は少しずつ惹かれ合っていく。二人で初めてを積み重ねていく、その様はもはや恋人同士と言っても過言ではないのである。

 

「私は紡くんの彼女です」

 

だからこそ、とあるアクシデントから誤解され、それでも乗り越えた時に。思わず嘘は真となったのだろう。

 

テンポが良くて、主人公が可愛くて格好良い。だからこそこの作品は、読み易くて口当たりも軽くて読み易いのだ。

 

肩の力を抜いてラブコメを楽しみたい読者の皆様、可愛い主人公を見てみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

 

きゅうそ、ねこに恋をする (MF文庫J) | 三月みどり, Tota |本 | 通販 | Amazon