読書感想:来タル最強ノ復讐者 ~救いなき監獄都市で絶望を容赦なく破壊する~

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は監獄と聞いて、どんな監獄を思い浮かべるであろうか。アルカトラズであろうか、それともインペルダウン辺りであろうか。様々な監獄があると思われるが、監獄には内部に独特の秩序が存在しているらしいと聞いた事はあられるであろうか。ならば凶悪犯達が収容されているであろう監獄の中には、一体どんな世界が広がっているのだろうか。

 

とある異世界、その片隅で妹と母と共に、裕福とは言えぬながらも細やかな幸福のある生活を謳歌していた青年、ヴァイド(表紙中央)。

 

だがしかし、彼の幸福な日常はある日唐突に崩れ去ってしまった。謎の痣を持つ、八人の人間の手によって。

 

妹であるアニカ(表紙左)を無実の罪で連れ去られ、それを拒もうとした母親を剣で滅多刺しにされて惨殺され。

 

一人ぼっちとなってしまったヴァイド。だがしかし、彼の心の中に今燃え盛る炎があった。その炎の名前は「復讐」。八人の人物に復讐し、アニカを救出するためにヴァイドは敢えて貴族の一家壊滅という罪を犯し、アニカを追い監獄都市「ゾルバドス」へと入獄する。

 

「無茶苦茶すぎるぞ、この大監獄内・・・・・・」

 

彼の目の前に広がっていたもの。それは外の世界の金が流通し、八つに区切られた区画それぞれに独自の秩序が存在する異常な世界。八人の区画長により統治される、殺人すらも許容される、まさに犯罪都市といった感のある世界。

 

そんな世界で出会った、運び屋を営む少女、イレール(表紙右)。彼女の身体には仇と同じ痣があった。しかし彼女は言う。自分は仇ではない、この痣はいつの間にか浮いてきたと。そしてこの痣は「刻印」と呼ばれ、この痣を持つ者は釈放されるという噂があると。

 

なし崩し的に彼女と契約を結び、彼女のボディーガードとして行動する中、ヴァイドはこの監獄の秘密と刻印の秘密に迫り、復讐相手の一人、区画長の一人、オーラフと対峙する。

 

そも、刻印が浮かんだ者が連れていかれる場所はオーラフ以外入れず、しかも外には通じていない。

 

刻印はある日突然発現する、その予兆は何処にもない。

 

戦いと潜入を続ける中、判明する刻印の真実の一端。悪魔が如き異形と化したオーラフにより繰り広げられる、凄惨な虐殺。

 

「死んで詫びろ、なんて言わない。母さんに謝らなくていい。お前みたいな奴が二度と関わるな。だがせめて、この区画でお前に殺されていった人達の魂が安らかに眠れるように・・・・・・」

 

「・・・・・・死ね」

 

虐殺の中、イレールとと共にオーラフと対峙するヴァイド。戦いの果て、ようやく遂げられる一つ目の本懐。だがしかし、道はまだ始まったばかり。そして事態は、彼の知らぬ側面ばかり、そして謎だらけ。

 

血塗れな凄惨さと陰鬱さの中、只管に復讐を果たそうとするヴァイドの仄暗い格好良さがある。

 

この作品はそんな面白さがある作品であり、謎に満ちた世界が大きい物語りとなる事を告げてくる作品なのである。

 

ダークな作品が好きな読者様、血塗れな作品が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

来タル最強ノ復讐者 ~救いなき監獄都市で絶望を容赦なく破壊する~ (電撃文庫) | 哀歌, 夕薙 |本 | 通販 | Amazon