読書感想:先輩、わたしと勝負しましょう。ときめいたら負けです! イヤし系幼女後輩VS武人系先輩

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はもしかしてロリコンだったりするであろうか。気分を害したのならば失礼いたしました、ブラウザバックは止めてくださいませ。では何故、こんな爆弾的質問をいきなりぶつけたのか。その答えは只一つ。この作品のヒロインが、舞台となる場所の年齢層的に言えば「幼女」に区分されるヒロインだからである。

 

教育方針としてインターナショナルな方針を謳う、とある私立高校。そこに一人の少女が通っていた。

 

彼女の名前はクオン(表紙右)。北欧系ハーフでとある財閥の令嬢、そして海外の学校で飛び級を重ねてきた才媛。正にラノベの中の登場人物なのかと言わんばかりの少女である。

 

そんな彼女には恋をしている相手がいた。しかもその感情は、子供特有の幼き恋心などではなく、正に「恋」。真っ直ぐにどこまでも熱い恋心だったのである。

 

彼女に恋心を向けられる相手の名、その名は玄鉄(表紙左)。実家が古武術の道場で、バトル漫画の強キャラが如き顔面を除けば、普通の読書好きな青年である。

 

「我ら、と言っても俺たち二人しかいないだろうに」

 

「じゃあ、わたしの」

 

「君のものでもない」

 

いつもと変わらぬ二人きりの文芸部。打てば響くかのように繰り広げられる、漫才めいた二人のやり取り。

 

そんな日々は心地よいけれど、クオンの中に不満が一つ。それは玄鉄が自分に好きだと言ってくれぬ事。

 

それも当然であるのかもしれない。何せ彼女は十一歳。手を出したら様々な意味で不味い存在であり、だからこそ彼は向けられる恋心を持て余す。

 

そんな彼へとクオンは一緒に下校する事を賭けて勝負を持ち掛ける。期限は一週間。お互いにときめいたら負けの三本先取の五本勝負。

 

そして始まる二人の勝負。それはラブコメ定番イベントをこれでもかと繰り出していく、玄鉄をときめかそうとする真剣勝負。

 

ある時はチラ見せを目論んだり。またある時は、手料理で胃袋を掴まんと弁当を作って来たり。

 

だがそう簡単にはいかず。玄鉄の一撃で不意に赤面したり。思わぬ急接近に心ときめいてしまったり。

 

時に聡明、時に無邪気。そして時に、恋する少女の純真さで真っ直ぐに。

 

そんな心ときめかせる二人にとっての真剣勝負が、一勝負一話の形式でテンポよく、とんとんと繰り出される。

 

この作品はそんなテンポの良さが光る作品である。そしてラブとコメディが完璧な比率で交差するかのように、よき流れで繰り出される事でよりきゅんときてしまうかもしれぬラブコメなのである。

 

可愛い女の子に萌えたい読者様、時に笑い時に萌えたい読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。