読書感想:ラストオーダー2 ひとりぼっちの百年戦争

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ラストオーダー1 ひとりぼっちの百年戦争 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、今巻の感想を語っていく前に一つ。この作品の主人公であるリアは元から独りで戦い続けてきたのだろうか? 否、そういう訳ではない。彼女にだって仲間がいた。同じラストオーダー、「最後」の命令に従い共に戦い続けた仲間達が。

 

では何故、作品の開始時に彼女は一人きりだったのだろうか。その答えはもうお分かりであろう。百年の間に大切な仲間達は一人、また一人と戦死していってしまったのである。

 

かつてそこにあった大切な日々。だがその日々は聖夜というめでたき日に裂かれ、彼女は戦地へと身を投じる。

 

戦い続け、絶望的な戦火の中を潜り抜け。そして運命の日、最後の命令が下されたあの日。彼女には三人の仲間がいた。

 

元モデルを自称するヒューマロイド、ドラ(表紙左)。

 

元メイドのヒューマロイド、シオン(表紙奥右)。

 

元は狩猟用の男性ヒューマロイド、ウッル(表紙奥左)。

 

百年の始まりとなったあの日、確かに大切な仲間達がいた。彼女は一人で戦っていた訳ではなかった。だが、リアの仲間達にもまた譲れぬ願いがあった。生きる理由があった。そして仲間達は一人、また一人と殉職していった。

 

「ご主人様」を愛し、彼の元に戻りたいと願ったシオンが倒れ。

 

現地人との抗争の中、奴隷の少女に目を奪われ気にかけたウッルが散華し。

 

そして機械仕掛けの天使との戦いの中、ドラの命は容赦なく奪われた。

 

百年の間に大切なものを失い続け。それでも尚、リアは一人戦い続けた。死んだ仲間達のパーツを用い、つぎはぎだらけとなっても尚、命令を果たさんと。それだけを至上命題として。

 

「人間なんざお前が命懸けて守るほど立派な生き物じゃねえんだっ!!」

 

かつて好いた男の声が引き留める。それでも彼女は突き進む。

 

何故、何故そこまで戦い抜くのか。そこには彼女が命を懸けるだけの「理由」が確かにあったから。

 

その理由、そこに秘められた思いを知る時、きっと画面の前の読者の皆様も涙されるかもしれない。

 

なので、私から言えることは残り少ない。だからこそ、これだけは記そう。

 

確かに人間には守るだけの価値なんてなかったのかもしれない。ひとりぼっちの百年を重ねる意味なんてなかったのかもしれない。

 

だけど、彼女の希望を繋いだのもまた人間だ。アネモネの花と共に、終わりへ繋がる希望を連れて来てくれたのもまた人間なのだ。

 

 

圧倒的な一大スペクタクルで描かれる、切なく重く、だが愛おしいこの作品。

 

 

画面の前の読者の皆様も是非読んでみてほしい。きっと貴方も涙するかもしれないから。

 

ラストオーダー2 ひとりぼっちの百年戦争 (講談社ラノベ文庫) | 浜松 春日, カズナリ |本 | 通販 | Amazon