読書感想:魔王と竜王に育てられた少年は学園生活を無双するようです 1

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は何らかの才能が無いと言われた際、どうされるであろうか。諦めるだろうか、それとも少しでも上達するために訓練を重ねるだろうか。ではもし、上達するまでの時間が無限にあるとしたら、貴方はその話に乗られるだろうか。

 

とある異世界、その辺境のとある村。親もなく、普段は無理矢理彼氏にされたワガママな幼馴染、エレナにいびられる少年、ルイシャ(表紙中央)。

 

彼には何の才能もなかった。魔法もてんで使えぬし、剣を振れば拙いにも程がある少年であった。

 

そんな無能の極みとも呼べるルイシャは特訓に訪れた近所の山で、謎の裂け目へと誤って落下してしまう。

 

そこは只の裂け目ではなく、かつて魔王と竜王を封印した勇者、オーガが作り上げた異次元空間、「無限牢獄」への入り口。そして彼が落ちてしまったそこに偶々いたのが、魔王テスタロッサ(表紙右上)、竜王リオ(ルイシャ命名、表紙左下)である。

 

今脱出できる可能性があるのは彼のみ。そして脱出するためには強くなるしかなく。幸いにしてこの空間は時間の流れが違い歳を取らない、正に修行に於いては最高の場所。

 

そんな訳で、脱出するためにテスタロッサとリオに師事する事となったルイシャ。

 

彼は二人を驚かせていく、その飽くなき力への熱意とひたむきな向上心で。

 

テスタロッサは彼に姉と呼ばれ姉性が開花し面倒見がよくなり、リオは名前を得て家族の温かさを知り笑顔が増えていく。

 

そんな日々を繰り返し約300年。魔族と竜族の力を使える「魔竜士」として覚醒したルイシャは、二人を牢獄から助け出す為にとうとう牢獄を脱出する。

 

そして、脱出して早々に、彼は世界へと示していく。多大なる年月とひたむきな努力、そして最愛の師匠たちが授けてくれた無双の力を。

 

それと同時に、彼はどれだけ虐げられても失わなかった優しさと、全てを包み込むかのような器の大きさで、誰かを助け、自然と諸人を惹きつけていくのだ。

 

「だったら僕がその呪いから救ってみせる」

 

ある時は、使命と継いだものの大きさに縛られていた勇者の末裔、シャルロッテに敗北を教えその心を救い。

 

 

 「僕は、変わった。師匠、そしてクラスのみんなと会って。だからヴォルフにも変わってほしいんだ」

 

またある時は、王都の学園で級友となった獣人の少年、ヴォルフの危機を身を挺して庇い、その背の大きさを彼へと見せつけ。

 

画面の前の読者の皆様はもうお気づきであろうか。そして登場人物達はもう気付いているのか。彼の在り方は、その背と生き方で誰かを惹きつけ一緒に進んでいく在り方は、まさしく「王」のものであると。

 

いつの間にか皆の中心となり。そして皆で一緒に進んでいく。

 

これはそんな、優しく強い少年が世界へその力を見せつけ成り上がっていく物語なのである。

 

王道のファンタジーが好きな読者様、少年が世界に力を見せつけ成り上がっていく面白さが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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