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読書感想:現実でラブコメできないとだれが決めた? - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、ラブコメに必要なものとは何だろうか。まずは画面の前の読者の皆様、心の中で想像していただきたい。「幼馴染」は必要である。「主人公」もまた必要である。では後は何が足りないのか。その答えはある意味、簡単であり一番重要なものである。それは「ラブコメが出来るクラス」である。
それは案外、当然である事かもしれない。役者だけいる状態では何も始まらない。役者たちが躍る舞台があってこそ、ラブコメは始まる。役者だけが滑稽に踊るのではない。クラスが一丸となってこそ、ラブコメは成立するのである。
「俺の計画には、排除していい敵なんていない。そもそも、敵味方なんて区別がないのがラブコメのいいところなんだから」
だからこそ、まずはクラスを運動系、オタク系、チャラ系といった感じに分類し、それぞれのグループを繋ぎ合わせる為にラブコメ的なイベントを始めていく耕平。
それは自由時間の運動であったり、何気ない雑談であったり。何でもないそんな日常こそ相互理解の鍵であり、クラスを一つに結び付ける為の鍵。
「キモすぎるだろ、マジで」
だがしかし、そんな耕平の活動を阻まんかとするかのように行動を開始する者が一人。何かと耕平に敵対的であった、ギャルグループの中心的人物、あゆみ(表紙右)である。
何故彼女はラブコメの成立を阻むのか。それはまだ分からないけれど、彼女を排除する事は勿論選択肢にはない。だって彼女は敵ではないから。
そう、今巻はクラスをラブコメ色へ染め上げ一丸とするために奔走する巻であり、現在敵対的であるあゆみを攻略し、ラブコメ色へと染め上げる巻である。
「馬鹿な、ことばっかやってて・・・・・・・・・・・・ごめん、なさい・・・・・・っ!」
そして、喧嘩して、お互い謝り合って、認め合って。一つとなる。そんなラブコメとしての「王道」が繰り広げられるのが今巻なのだ。
「だから・・・・・・アタシはアタシらしく、頑張ってみよっかな、って思った。そんだけ」
王道を歩き過去を越え絆を繋ぎ。自分の道を歩き出すあゆみ。
その裏で巡るは、普通を望む者が零す逸れた思い。そして「彼女」の耕平への宣戦布告。
いつかきっと来るのだろう、「彼女」との本気の対決の時が。
前巻にも増して未経験の面白さが跳ね上がり、逸れているように見えて正に王道ど真ん中を走っているこの作品。
未体験の面白さを見てみたい読者様、やはりラブコメが好きな読者様にはお勧めしたい。
きっと貴方も満足できるはずである。
現実でラブコメできないとだれが決めた? (2) (ガガガ文庫) | 創, 初鹿野 |本 | 通販 | Amazon