読書感想:限界超えの天賦は、転生者にしか扱えない オーバーリミット・スキルホルダー1

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はファンタジーはお好きであろうか。どんな異世界がお好きであろうか。どんな冒険がお好きであろうか。

 

鉱山や森の奥深くのような限られた場所で発見され採掘される、スキルを得る事の出来る力を秘めた「天賦珠玉」。但し、天賦珠玉には☆で記されるランクがあり、普通の人間は合わせて☆八個までしか装備できない。という前提条件を皆様、ご理解いただきたい。この感想記事を読む前に。

 

そんなシステムが存在するとある異世界、とある国の片隅。天賦珠玉が発掘される鉱山で働く一人の少年と少女がいた。

 

少年の名前はレイジ(表紙中央)。三歳年上の姉替わりの少女の名はラルク(表紙左上)。人を人とも思わぬ劣悪な鉱山での労働環境の中、支え合い周りの大人達に助けられながら、懸命に生きていく二人。

 

だがそんな二人の日々はある日、あっけなく終わりを告げる。発掘された☆六個の天賦珠玉を受け取りに来た大貴族にレイジがあわや殺されるというその時、突然に巻き起こる落盤事故。

 

その事故が大貴族の命を奪った時、レイジ達を洗脳していた魔法は解け、彼を始めとする奴隷達は解放され、暴動が巻き起こる。

 

「・・・・・・道は切り開く。お前も上手く逃げるんだ」

 

☆六つの天賦珠玉の力を手に入れ、レイジの元を離れ何処かへと去っていくラルク

 

最早万事休す、全てはもはや奪われた。かに思えた。だがしかしレイジの元にとある力が呼ばれる。その名は「森羅万象」。 全てを観測し全てを模倣する、正に最強ともいえる力でありながら人には決して装備できぬ一見すると意味のない天賦珠玉。だがしかし、レイジにだけは装備できた。何故か。それは彼が転生者であり、二人分の装備できる容量があったからである。

 

悪しき者が使えば、世に混沌を巻き起こすかもしれぬその力。だが、世は幸運なのか。その力を手にした少年、レイジは善良な子であった。そして、小さな勇気と優しき心を持ち合わせる、人として大切な強さを持っている子供であったのだ。

 

鉱山でお世話になった老人の最後の願い、陽の光を見たい。その願いを叶えようとするその姿に打算などはなく。誰よりも真っ直ぐ、自分すらも投げ打つほどに誰かの為に。

 

そんな彼を拾ってくれたのは冒険者達のパーティー、「銀の盾」。

 

ハーフリングの世話好き魔術師、ミミノ(表紙右下)。

 

一見すると柄が悪いが実は頼れる兄貴分、ライキラ(ミミノの左斜め上)。

 

回復に長けた優しき修道女、ノン(ミミノの上)。

 

ノンの父親であり、頼れる戦士、ダンテス(表紙最奥)。

 

彼女達と過ごす中、知っていくのは初めての打算も何もない優しさ。人の温かさ。

 

「・・・・・・だらだら歩いていたってダメだ。やるなら走らなきゃ」

 

だからこそ、彼女達が竜という強大な敵の襲来により危機に陥った時、レイジの心に小さな、だけど確かに自分の心を奮い立たせる勇気が宿った時、彼は怯えを越えて走り出せたのだ。

 

「―――でもいつか、帰ってきます」

 

この作品は、まごう事無き王道のファンタジーである。そして未熟だけれど強く優しい少年が、様々な人達と出逢って、成長を始める作品なのである。

 

王道なファンタジーが好きな読者様、魅力的な登場人物達に逢いたい読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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