読書感想:家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?2

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前巻感想はこちら↓

https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/05/15/231516

 

さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。私にも感想記事を書けない時があるという事をご承知いただきたい。それは時間的な制約であったり、感想に出来る程の言葉が出てこない時という事もある。だが、この作品の感想は「書けない」のではなく「書きたくない」。何故か。それはこの作品がこの二巻で一先ずの終幕を迎えてしまうからであり、故に感想にしてしまう事で私の中でこの作品が終わってしまう、もっと感想を書きたかった作品と言う事を否が応でも実感してしまうからである。

 

だがしかし、私はこの巻を感想記事とする。それは私なりの餞別であり、それこそが作品への礼儀と恩返しだと思う次第だからである。

 

舞台となるのは文化祭、そして町内の運動会の二人三脚。

 

高校の自らのクラスの出し物、シンデレラの演劇で王子様を演ずる事となった真。同じく中学の文化祭、そこでシンデレラを演ずることとなった姫芽。共に練習を始める事となる二人。

 

何処か曖昧な距離感で、だけど確かに心は繋がって。そんな二人と同じように。心を合わせて走る事を要求される、二人三脚へと出場する事になる真と波月の距離もまた、変化の時を迎えていく。

 

纏めて絆を深める為に三人で繰り出した街の景色。驚かせようと思ったプレゼントを渡した時、不意に見せた涙。

 

姫芽への想い、それが終わった筈の想いがまた繋がりやり直していく恋なのなら。波月への想いは、今まさに始まった、確かにここにある恋なのだ。

 

だが、それは家族ではなく後輩から始めた彼女とは違い、家族から始まった想い。そして、二心抱く彼の心自身が、彼の心を苛む。

 

「ふたりへの想いをきょうで消すと。・・・・・・そのために家も出ます」

 

だからこそまた、真は選ぼうとする。誰も傷つけたくないから。自分の気持ちを押し殺し身を退こうとする、まるで波月のように。

 

だが、だけど波月は。

 

「・・・・・・そんなの絶対許さないわっ!!」

 

涙を流し、その心の激情を真っ直ぐに叩きつけ、真を叱りつける。そんな馬鹿な事は誰も許さない、馬鹿で真面目で愚直を極めていて。それでいてご飯が上手くて。そして、こんな自分を好きと言ってくれた貴方を離さないと、声も枯れんばかりに叩きつける。

 

 

そう、今巻は高嶺の花、天上の星だと思っていた波月の本当の姿に触れる巻である。そして、思い詰めてまた壊れそうになっていた真がまた一つ許された事で、本当の意味での「自分」へと向き合い、心からの笑顔でまた一歩歩き出す巻なのである。

 

 

魔法はいつか解ける、どんなものでも。だけど、その心に宿った想いの煌めきは魔法じゃない、嘘じゃない。だからこそ、形は変わってしまうかもしれないけれど。その想いの星、胸の中に芽生えた光が明日を照らし導く光となる。その道はもう一人じゃない、「家族」がいる。

 

だからこそ、例えこれから何があっても。「家族」がいれば大丈夫。

 

感動で泣きたい読者様、家族の絆の美しさを見たい読者様にはお勧めしたい。きっと、否、絶対貴方も満足できるはずである。

 

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