読書感想:天才美少女な幼馴染のくせに、なんで俺の前でだけそんなにスキだらけなんだよ

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は天才と呼ばれる人を聞かれて誰を思い浮かべるだろうか。アインシュタインだろうか、レオナルドダヴィンチだろうか。天才と呼ばれる人々は人類の歴史に数多くあれど、天才とは得てして常人には理解できぬ行動をとられる事があるのはご存じであろうか。そして、天才にももし計算できない、空欄だらけの数式。それを運命と呼ぶのではないか。私はそう思う次第である。

 

人懐こくて明るくて、そして稀代の天才。二年生となったこの春から生徒会長に就任した美少女、毬萌(表紙)。

 

だがしかし、彼女には誰にも見せぬ一面、明らかになってはいけない一面があった。それは隙も多く、そしてぽんこつな一面があるという事だ。

 

スキ、題名にも込められた単語の一つ目はこれ、「隙」という単語である。

 

発音しにくい外国人の名前を危うく禁止用語で呼んでしまいそうになったり、何故か手首に嵌める筈のリストバンドを頭に嵌めて大変な事になったり。

 

そんな隙も多い彼女を支え、完璧な美少女として成立させているのは誰か。それこそがこの作品の主人公、毬萌の幼馴染であり生徒会副会長、公平である。

 

新たな季節を迎えても変わらない筈だった二人の関係。しかしそれは不意な変化を迎える。それを齎すのは誰か。その名は花梨。新入生総代であり生徒会の新たなメンバーとなった毬萌と公平の後輩だ。

 

花梨の告白を受けお試しで恋人関係となり、初めてのデートを経験したりして少しずつ縮んでいく公平と花梨の距離。

 

その光景を見、何故か公平の前でも完璧であろうと振る舞い、いついかなる時も公平がいずとも完璧であるとばかりに振る舞う毬萌。

 

「コウちゃんが、幸せになれないんだもんっ!!」

 

涙と共に叫んだ秘めていた想い。公平に幸せになってほしいという願い。

 

だがしかし、毬萌は完璧に振る舞えず致命的なボロを出してしまう。何故か。

 

当たり前な筈だ。何故なら毬萌と公平は今まで二心同体、お互いがお互いを重力に捕らえ周り合う連星だったのだから。

 

当たり前な筈だ。比翼の羽はもがれたのなら空を飛べず、連理の枝は折れたのならばただの枝だから。

 

あんなに一緒だったのに、離れて気持ちを封じても、それは自分の気持ちを裏切るだけだから。

 

スキの答えのもう一つ、それは「好き」。言葉にしてしまえば簡単で、だけど何よりも大事な感情。

 

「お前が困っているのを見過ごす俺なんて、もうそれは俺じゃねぇ!!」

 

未だ自分の気持ちは分からないけれど。それでも届けと必死に公平は叫び手を伸ばし。

 

「わたし、コウちゃんの事が好きっ! 何百回計算しても、コウちゃん以外の人を好きになれる確率、0パーセントなんだもんっ!!」

 

その声に好きの想いを言葉に乗せ、毬萌は公平の胸へと飛び込む。

 

天才は果てしない計算の末に、ようやく見つけた自分の感情を言葉へ託し。ここから始まる。ここからが本当の始まりだ。

 

真っ向勝負ならばお相手しましょうと向き合い、公平は誰とキスをすると言わんばかりに公平に迫る毬萌と花梨。

 

そんな二人と一人を見守るは強面優しい会計に、男嫌いの風紀委員といった気の良い仲間達。

 

そう、これはハッピーエンドが約束されたラブコメである。そして、二人の少女がハッピーエンド目指して相争うラブコメなのである。

 

その様は何処までも王道で、何処までも青春で。だからこそこの作品は面白さが溢れている。

 

王道のど真ん中、青春真っ盛りなラブコメが好きな読者様、明るく楽しく元気のよいラブコメを読んでみたい読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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