読書感想:ただの屍のようだと言われて幾星霜、気づいたら最強のアンデッドになってた

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はもし最強のアンデッドとなってしまったら、貴方はどうされるであろうか。何のために、どんな行動をされるであろうか。

 

ごく普通のBランク冒険者、ジオン(表紙中央)。彼は単独で高ランクのダンジョンへ挑むも力及ばず力尽き、理性を持たぬアンデッド、ダンジョンの魔物の一体としてダンジョンを彷徨っていた。

 

そんな彼が存在していたダンジョンへ、二体分の力を取り込み持ち合わせた古竜が力尽き、落下してきた。しかも運が良いのか悪いのか、彼の目の前に。この事が彼の、ひいては世界の運命をどこかおかしい方向へと狂わせていく。

 

ただのアンデッドだったジオンが理性と記憶を取り戻した時、彼は古竜二体分の力を取り込み、最強のアンデッドと呼ばれる存在、ノーライフキングへと変貌を遂げていた。

 

再び死ぬため、その命を終わらせる為。ジオンはダンジョンを飛び出し、旅を始める。

 

だがしかし、彼の身体は多大な魔力を持ち合わせた、どんな攻撃をも意味をなさぬ絶対無敵の身体となってしまっていた。その事が良い意味でも、悪い意味でも多くの騒動の引金となり、多くの人々の注目を集めていく。

 

冒険者の一団をその強さで恐怖の渦に落とし込んだかと思えば、結果的にトドメを刺さず去ったり。

 

聖騎士で構成される部隊の隊長、リミュル(表紙右)の危機を助けたかと思えば彼女と敵対する事になってしまい、しかしその圧倒的な力で全ての攻撃をはじき返し、何もせずにその命を見逃し。

 

死体をこよなく愛する凶悪な死霊術師の眷属を次々と退け、更には襲い掛かってきた本人も一撃で下し。

 

彼の死に際のアドバイスに基づき王都に向かえば、英雄王と呼ばれるアレンドロス三世(表紙左)に迎撃されたかと思えば、王都に襲来してきた雷轟竜を一撃で撃退したり。

 

そう、ここまで読んでくださった画面の前の読者の皆様ならお分かりであろう。このジオンという主人公、あまりにも強すぎるせいでどんな敵も一撃で終わらせる無双状態である。だがしかし、彼の望みはただ一つ。

 

もしかして、ついに永遠の眠りにつくことができるのだろうか?

 

上の一文が示す通り、彼の望みは只一つ。自らの二度目の人生を終わらせ死ぬ事。だがしかし、あまりにも強い己自身が終わる事を許さず、それどころか何もしていないのに恐れられ、消える事も出来ずにあまつさえ無自覚の内に世界を統べる存在となってしまう。

 

そんな勘違いとすれ違いが笑いを招く、一撃で終わらせるが故に安定感のある面白さがあるのがこの作品である。

 

何も考えず笑いたい読者様、すれ違いと勘違いものが好きな読者様にはお勧めしたい。きっと満足できるはずである。

 

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