さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は周りの人に何か勘違いされている事ってあるだろうか。その勘違いが致命的な非常事態を齎した事はあるであろうか。
かつて伝説の不良と呼ばれた兄と勘違いされ、その果てに非業の死を遂げた少年がいた。その彼は今、異世界の魔王、ケンゴ―(表紙手前から二人目)として転生し早16年、歴代最強の魔王として君臨していた。
しかし、転生しても尚彼はヘタレであった。小心者であった。小市民であった。とにかく戦闘民族である今の配下である仲間達とは違い平和を望む思考を捨てられずにいた。
そんな彼の配下である魔王軍のトップ達、魔将達は彼のそんな部分をどう思っているのか。
嫌っているのか、嫌悪しているのか。否、彼等はそんな魔王ケンゴ―に心酔し、陶酔し、彼の為に働く頼もしい部下達だったのである。
常に側に侍るケンゴ―の幼馴染、傲慢の魔将たるルシファーことルシ子(表紙手前)は時々溜息を吐きながらも彼を常に支え続け。
暴食の魔将、ベルゼブブことベル乃(表紙奥から三人目)はマイペースながらも彼を慕い、心から好き。
彼に弟分として可愛がられる、憤怒の魔将、サタンことサ藤(表紙手前から三人目)は彼の為に自らの秘奥を惜しみもなく使い、人間の要塞をこれでもかと攻撃する。
そんな彼等の当たり前、しかし人間の感性からしてみればやりすぎな所業に慌てふためき、慌てて出撃して人間を助けたりしながら更なる勘違いのフラグを積み重ねていくケンゴ―。しかし、彼の前に立ち塞がる人間達は魔族達もかくやと言わんほどに戦闘民族であり、謎の神に率いられし狂信者共の集まりだったのである。
そんな神の尖兵、天使の魔の手がルシ子へと伸びる時。滅多に見せぬ本気の怒りを見せたケンゴ―は、颯爽と戦場へと出撃していく。
「跳躍」
その心に、かつてない程の覚悟を宿して。
「もし家族がボコられてたら、せめてその時くらいは、おまえが代わりに殴ってくれるよな?」
その心に、かつて兄から問いかけられた問いへの答えを秘めて。
その心意気こそ正に王。誰よりも優しく、誰よりも強い王としての姿なのだ。
連戦連勝のヘタレチキンが名声も重すぎる愛も持て余し。それでも時に逆鱗に触れられた時はその力を躊躇いなく振るう。
そんな格好いい魔王の雄姿がこれでもかと込められたこの作品。
笑いたい読者様、熱い戦いに燃えたい読者様。最強の主人公の痛快で爽快な戦いを楽しみたい読者様は是非。
きっと満足できるはずである。