前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/09/09/235521
さて、作者であられる志瑞祐先生は前巻のあとがきの最後で、三巻はターニングポイントというか色々盛りだくさんの巻になられると予告されていた。ではその三巻は一体どんな巻となるのであるのか。
その答えを言うのであれば、かつてヴォイドにより滅ぼされた筈のリーセリアの故郷の出現。そして過去の時代より来たりし来訪者の出現。最後に、レオニスが追い求める女神の転生体の出現、と言えばわかっていただけるだろうか。
リーセリアという英雄を求められ、第18小隊として出現した都市へと向かうレオニス達。
そこに巣食うは天使の形を取った、あるいは人型を取ったヴォイド達。
其を率いるは六英雄の一人、<聖女>に転生した女神という名のヴォイド・ロード。その側に侍り覚醒を待っていたのはレオニスと同じく女神に忠誠を誓っていた八大魔王の一人、その腹心たる謎の男、ネファケス。そして魔王を滅ぼすべく千年の眠りから蘇ったエルフの勇者、アルーレ。
女神の復活を願う教団が前巻で騒動を起こした、故に今巻もまた教団が幅を利かせると思ったであろうか。
しかし、その予想を軽々と飛び越えるかのようにこの作品の舞台に上がったのは、過去からの来訪者達だったのである。
ネファケスの主、その名は<アズラ=イル>。異界の魔神と呼ばれ、大賢者により封印され討伐が確認されていない魔王の一人。レオニスと同じく、女神に最後まで仕え続けた忠臣。
では何故、女神を復活させるために聖女をヴォイドと為したのか。そもそも女神の予言になかったヴォイドとは何なのか。
謎が更に深まる中、リーセリアは女王として更に覚醒を深め、かつてこの都市を守った忠臣達の亡霊を率い戦場に舞い。その忠義に応えるかのように、迷いを振り切ったレオニスは魔剣を振り下ろす。
「滅びよ、<六英雄> ティアレス・リザレクティア、偽神の器よ―――!」
だが、闘いに勝利せども謎は消えず。それどころか更に謎は深まっていく。
何故、かの<女神>は本当の<女神>ではなかったのか。
何故、かの魔王の腹心は女神を復活させようとしていたのか。
この世界に、そもそも魔王は何人生き残っているのか。
女神も予想しえなかった世界のエラーが更に深まり、過去からの来訪者達が作品の舞台をこれでもかと荒らしていく。
正しく、何かが始まっていく巻である。一つのターニングポイントと言える巻である。
だからこそ、ここまで読まれた読者様はどうか読んでみてほしい。
きっと満足できるはずである。