読書感想:わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) 2

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前巻感想はこちら↓

https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/02/21/234815

 

さて、みかみてれん先生の書かれるガールズラブコメの片割れ、明るい方(個人的主観)のこの作品も遂に二巻が発売である。ではこの二巻では何が描かれるのか。それは前巻で真唯と冷戦状態に陥っていたグループの一人、紗月との偽装恋人契約と真唯と紗月のれな子の取り合いである。

 

真唯への復讐の為、れな子を奪う事を思いつき、れな子へ夏休みが始まるまでの二週間の偽装恋人契約を持ちかける紗月。

 

思わず面食らうも強引に押し切られたれな子が目にするのは、紗月の家庭環境と彼女の本心。

 

何事にも本気、だからこそ恋人でもあり妻としてきっちりと尽くす事を選び。その信念にきっちり従うように、れな子に勉強を教えたり、無意識に過去の傷を抉られて飛び出してしまった彼女を追いかけ、家に泊めてお風呂に一緒に入ったり、一緒に寝たり。

 

そんな彼女は片親家庭の苦学生、だから少し離れた場所でバイトしていたり。

 

 

今まで何処かミステリアスに見えていた彼女もその神秘のヴェールを剥がしてみれば、何処にでもいる可愛らしい、ちょっとズレているけれどそこがいい一人の女の子である。更に明らかになるのは真唯に対する紗月の本心、それを引き出すことこそ今回のれな子の役目。

 

今まで近くにいすぎた、だけど二人の間の溝は今は深く。だからこそ、友達だとしても一歩離れて踏み出すべきだから。

 

「だから、ひとりで諦めないでよ! きょう負けたって、不敵に笑って『次は勝つわ』って言ってよ! いつもの紗月さんみたいにふてぶてしく! あんな顔がいいだけの俺様野郎なんかに、心折れないでよ!」

 

真唯という天然の女帝に打ち負かされ心折れる紗月にれな子は叫ぶ。巻き込まれた他人ではなく、共犯者として。共に真唯に立ち向かう仲間として。

 

「初めて勝ったわね、あなたに」

 

その勝負の果て、遂に勝利を収めた紗月は笑う。またあの日のように、気の置けない友として。

 

では今巻は真唯は打ちのめされるだけの悪役なのかと言われればそうでもなく。真唯の初めての表情もまた引き出されていく。それを行うのも、やはりれな子の役目である。

 

れな子を奪われた事を知りショックを受けたり、れな子に構ってもらえなくて落ち込んだり、更にはれな子と紗月に勝負で負けて凹んだり。

 

「前も言ったけど、別に何回失敗したっていいでしょ。何回も負けるのだって、そういうものだよ。真唯は普段からがんばってるんだから」

 

等身大の真唯を見つめて受け止め励まして。その表情は、まるで少しだけ紫陽花さんかのように、慈愛に満ちた聖母のように。その笑顔は紗月と友達になり、真唯と紗月に勝利したれな子が手に入れた成長の証。

 

そう、正に女の子×女の子=∞可愛い。その方式を更に雄弁に叩き込んでくるのが今巻であり、更に賑やかさと面白さが上がってくる巻がこの二巻である。

 

だからこそ面白い。そしてこの先も読みたいと切に願わせてくれる。

 

前巻を読まれた読者様も、今巻も前巻も読みたいという読者様も是非読んでみてほしい。きっと満足できるはずである。

 

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