読書感想:究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら

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さて、画面の前の読者の皆様。フルダイブのゲームと言えば某SAOが思い浮かぶかもしれない。思い浮かべた読者様はこの作品を読むときに少し気を付けてもらいたい。この作品を読んだ後、某SAOを純粋な目で見れなくなっても責任はとれないので。

 

近くて遠い、かもしれぬ近未来である2065年。VRゲームは全盛期の人気を無くしながらも家庭内に浸透していた。この世界に十年前、生まれたクソゲー「極クエスト」。当時としては革新的であったかもしれぬそのゲームは発売からすぐ人気を無くしてしまった。

 

それは何故か。何故ならば、そのゲームはリアルを追求しすぎてもはやゲームの範囲を飛び越えるどころか、もはや現実よりもクソゲーと化した最悪に面倒くさいゲームであったからだ。このゲームにひょんな事から飛び込んでしまった哀れな少年が一人。周りの人間に何と言われようがVRゲームを愛する冴えない少年、宏(表紙右下)。彼こそがこの作品の主人公である。

 

一つの人生をゲームの中で過ごす事になる中、不意の事故からゲーム内の幼馴染を殺してしまい、その妹を殺人鬼かつ追跡者へと変貌させてしまう。いきなりの詰みと言わんばかりの絶望的な状況。しかもこのゲームは記録がハードにされてしまうので、ハードごと変えなければリセット出来ぬ。

 

この絶望的な状況を何とか出来るかもしれない救世主は一人。宏に半ば騙すかのような形でこのゲームを売りつけたゲームショップの店長、玲於奈(表紙中央)である。

 

何度となく文句をつけても丸め込まれて。その度に宏は何度となくゲームの中へと潜っていく。

 

その道の先、やっと気付いたのは自分の選択の過ち。そこに気付けたときが、一歩踏み出す鍵である。

 

「俺と一緒にいこう」

 

過ちを認め思い出した時、一つのイベントを解決するフラグが華麗に立つ。

 

 

言うなればこの作品は良い意味でヒドい。破綻寸前なのではないかと思ってしまうほどに色々な意味でハチャメチャでしっちゃかめっちゃかである。そしてナンセンスかもしれないギャグにほぼ全振りしている。だがそこに不意にふとした感動がぶち込まれることで得も言われぬ不思議な読了感を生み出している作品なのだ。

 

クソゲーが好きな読者様。ただ単純に面倒な作品が好きな読者様。そして何よりも色々な意味で笑いたい読者様。そんな方たちにはお薦めしてみたい。

 

貴方がどんな感想を抱くのか。私はその反応が楽しみである。

 

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