読書感想:せかいは今日も冬眠中!

f:id:yuukimasiro:20200805232909j:plain

 

さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は冬という季節は好きであろうか。かつて某新世紀アニメでは、世界から夏以外の季節は消滅していたが、もし冬以外の季節が消滅してしまったら、貴方は果たして世界を好きでいられるだろうか。

 

とある事情から、寒冷化の一途を辿っていくとある世界。この世界に春を取り戻す為に進むとあるプロジェクト。それは、「シム」と呼ばれる動物を模した姿の小さな妖精たちの協力を仰ぎ、世界に春を取り戻そうとするプロジェクトである。

 

そんな大きな計画に参加している学生の一人。人とシムの共存が成立している村出身の少女、ササ(表紙中央)。彼女が個性的で(多分)頼れる仲間達と共に、故郷の村でシムを増やす為のプロジェクトに挑むのがこの作品の趣旨である。

 

しかし、上手くいけば簡単ではあるものの当然のごとく簡単にいくわけもない。それもその筈、シム達はそれぞれ独立した個性と意志を持つ、まるで野生動物のように自由気ままな妖精たちだからである。

 

彼(?)等の機嫌を取るべく始まるおやつ作戦、更には秘密基地作り。

 

自由気ままな妖精たちと個性の強すぎる仲間達に振り回されながらも遅々として進まぬ研究。そこに立ち塞がるのは、シムをまるで家畜のように牧場を作って増殖させようという計画。

 

牧場計画。見ようによってはある意味でその計画は間違っていないのかもしれない。効率を求めるのならば、それこそが正しい計画であるのかもしれない。

 

しかしそれは、ササにとっては当然受け入れられるわけもない計画。だってそれはシムの意志を完全に無視するものであるのだから。

 

だからこそその計画だけは許せない。絶対に最後まであきらめない。

 

彼女達の想いが祭りとなり、確かに生み出されるのは奇跡の成果。

 

「責任者というのは文字通り、責任を取るためにいるのだ。そんなことは言われずとも当然だ」

 

その思いと成果が誰かの心を動かす鍵となり、大人達へ対する子供達の力と勝利を叩きつけるのである。

 

妖精さん達が可愛くてどこかほのぼのとしていて。そんな中、研究者の卵達の熱意が熱く、チームとして一つの目標の為に取り組むその姿勢が、世界を変えていく。言うなれば創造の面白さがある作品なのである。

 

小動物が好きな読者様、頑張る子供達が好きな読者様。ほのぼのほんのり、ほんわかなSFファンタジーが好きな読者様にはお勧めしてみたい。きっと満足できるはずである。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/4049132664/?tag=a8-affi-287285-22&a8=um8TvmNQPVk-N_lilJ.lm8kHkng9RnIiDJ.1N_._k1FQPV8k-n6hWn8bWVyd6dI.z1Eni78hzm8TMs00000009884001