読書感想:魔王と聖女が導く冒険者ライフ ―魔法適性0だけど極大魔力に覚醒しました―

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様にお聞きしよう。貴方が仕事に励む社会人であるとするなら、貴方は何故仕事に励むのであろうか。命を賭けるに値する理由はあるであろうか。

 

とある異世界のとある里、そこを十年の修業の末に聖剣を受け継いで旅立った、英雄になりたい少年、ルシオ(表紙左)。彼が冒険に駆けだしてすぐに聖剣を折ってしまい、その瞬間に聖剣に封印されていた魔が復活する。

 

その名はエルル(表紙右)。かつて讃えられた魔王であり、聖剣に封印されていた少女である。

 

不意に訪れた命の危機・・・かと思えば唐突に訪れるエルルの消滅。それもその筈、彼女が封印されていたのは肉体ではなく、魂だけだったからである。

 

生き延びる為に契約を持ちかけるエルル。英雄になるという夢の為、その契約を受けるルシオ

 

「魔王の力、君にあげる」

 

しかし、預けられたその力は誰も予想しえぬ暴走を生み出し、エルルも驚く威力を叩きだしてしまう。それもその筈。魔法が使えぬルシオの中に秘められていたのは、魔王すらも凌駕する極大の魔力だったのである。

 

ではそんなアンバランスな力を抱えたルシオは、何故英雄になりたいのか?

 

「俺は、英雄になってモテたいんだ!」

 

その理由はエルルも思わずズッコケる程の私情に満ちたどころか私情十割の素直すぎる欲に満ちた、単純な理由だったのである。

 

しかし、だからこそ単純で下心満載ではあるが、それは健全な青少年特有の理由。

 

そして、彼は下心塗れなだけではなく、手探りながらもリーダーとして振る舞おうとしたり、決して仲間を見捨てぬ熱さを抱えた快男子なのである。

 

そんな彼はエルルと、クエストの中で助けた聖女、ソフィアも仲間に加え初めてのパーティでクエストへと挑んでいく。

 

彼が過ごすのは仲間と過ごす日常という初めての日々、結果的に魔法がエラい騒ぎを巻き起こしてしまう、ドタバタに満ちたクエスト。

 

 

その日々を阻もうとエルルを狙い襲来するドラゴン。

 

「・・・・・・絶望なんてするわけないだろ」

 

だが諦める必要はない、絶望する必要もない。何故なら彼には最強の魔王がついているから。信じあえる仲間がいるから。

 

この作品は剣と魔法が彩る王道のファンタジーである。ドタバタとほのぼのに満ちた日常が綴られる作品である。そして、英雄を目指す一人の快男子が心のままにその道を突き進む、成長譚であり冒険譚である。

 

だからこそ面白い。笑いと熱さに満ちているからこそ、この作品は面白いのであるはずだ。

 

ファンタジーが好きな読者様、笑いたい読者様。そして爽快感を楽しみたい読者様にはお勧めしたい。きっと満足できるはずである。

 

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