読書感想:やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は他人の心をある程度読み取ることはできるだろうか。往々にして読み取る事は人間関係を円滑にする上で重要な事であるが、この作品の主人公のように読み過ぎるのも考えものかもしれない。

 

ではこの作品はどういう作品か。それを知る為には簡単である。今から載せる画像を見れば簡単だからである。ヒロインである小雪(表紙)のつんと澄ました綺麗な顔。

 

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その顔が一枚、表紙を捲っただけでこうなる。

 

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即落ち二コマなの? そうツッコミたくなる程に一瞬にして冷厳な顔が崩れて恥ずかしがり屋の一人の少女が顔を出す。それは何故か? その理由は主人公である直哉(口絵中央)が怖い程に他人の心の内を読み取ることができるからである。

 

それはもう、えぐいくらいに読み取ってくる。どこぞの探偵もメンタリストにも負けないくらいに、ふとした仕草と言葉の調子から裏の裏まで見通し、ズバズバと核心を突いてこれ以上ない程に完璧に、心の鎧の隙を突いて丸裸にしてくるのだ。

 

そう、小雪にとって直哉は嘘と強がりで武装した自分の心を唯一完璧に理解してくれる人である。そして直哉にとって小雪は初めて、自分から心の中を知りたいと思った相手である。更にここが一番肝心であるがこの二人、互いに一目惚れである。

 

だからこそ、互いに一目惚れだからこそお互い以外が見えておらず、故にお互い以外フラグが立たない。そしてお互いが唯一無二の相手であるからこそ既に二人の関係は完成しており、余人の入り込む隙なんぞどこにも存在していない。

 

そんな二人のラブコメは一体どんなものか。それは、お互いがお互いを既に攻略済み、既に半ばゴールしているようなものだからこそ互いに外堀を埋め合うように、互いの知らぬ部分を埋め合うような甘々なラブコメなのである。

 

デートしたり、直哉の手料理を手伝ったり。小雪の家に訪問したり。

 

これだけ見れば最早恋人同士が付き合いだしてから進んでいくようなステップである。しかしこの二人は爆速で、まるでエスカレーターを登っていくように一気に進んでいく。

 

そんな中で、小雪の妹である朔夜に兄として認められたり、挙句の果てには小雪の父に息子として認められたり。

 

本当に聞きたい。何故この二人はまだ付き合っていないのだろうと。最早恋人から夫婦になるのが既定路線と言わんばかりに埋まっていく外堀。だけど直哉も小雪もまだまだ思春期の子供であり、だからこそ衝動に突き動かされてすれ違ってしまう事もあって。

 

だけど、そんな時でも。今まで支えてきた周りの仲間達。そして二人を愛する者達が背を押してくれる。

 

「俺は白金さんの気持ちを・・・・・・特に『好き』って気持ちは、絶対に否定しない。きみごと全部受け止めるから」

 

だからこそ、真っ直ぐに愛を伝えられて。もう一度一歩前進出来るのである。

 

この作品はまごう事無き純然たるラブコメである。既にゴールは決まっていて、既に勝利の未来が約束されたラブコメである。同時に友達以上恋人未満な二人が、甘々なやり取りを繰り広げながらお互いを好きになっていく、見ている読者がこっ恥ずかしくなるほどに真っ直ぐなラブコメである。

 

しかし、だからこそ。

 

だからこそ、この作品は面白い。そう断言できるのだ。

 

全てのラブコメ好きな読者様、もとい全ての読者様。どうか何も聞かずに読んでみてほしい。

 

また一つ、この世に尊い奥深い作品が生まれる瞬間に出会える筈である。

 

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