読書感想:女子高生同士がまた恋に落ちるかもしれない話。

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は忘れられない初恋の相手はおられるだろうか。忘れられない初恋の相手、その人の事はどれほど覚えておられるだろうか。

 

ごく普通の女子高生、陽南(表紙右)。彼女には忘れられない初恋の相手がいた。かつて一度だけ一緒に過ごした、共に星を見た相手。自分が星空を見上げるのが好きになった切っ掛けとなった相手。

 

そんな彼女は高校生の始まりの季節、初恋の人に再会した。しかし、初恋の相手であった佑月(表紙左)は女の子だったのである。

 

昔とは違い、自分の方が背が高くて。一匹狼だけど表情豊かで関わってみればあの日と変わらず良い子で。

 

そんな、まるで自分を主人公にした物語が唐突に始まった陽南。彼女が触れていくのは、あの日から続く胸のどきどき。彼女の事を好きになった本当の理由。

 

友人である飛和と愛梨咲と共に佑月も加え、星楽部として活動する事になって。

 

まずは形を整える事から始めて、皆で買い物に行って。

 

その最中、見えてくるのは佑月という人間の本質。手の届かない向こう側の人間だと思っていた彼女の本当の姿。

 

面白くて可愛いだけじゃない。星を見れるとなったらすぐにでも見たいと輝くその目。

 

またあの日のように格好良くなれたら、あの日のように長野で星を見ようと約束して。

 

寮に現れる幽霊騒ぎの中、佑月には似合わない顔は何かと考えてみたり。

 

その胸によぎるはそんな顔をしてほしくない、見たくないというもやもやな想い。

 

急に離れ離れになって、会いたくなって。彼女の始まりに触れて、彼女を好きになった本当の理由に気付いて。

 

そんな陽南の元へ、まるであの日のように駆けつける佑月。何故、全てを放り出して彼女は来てくれたのか?

 

「だって長野には陽南がいない!」

 

それは彼女がいなければ意味がないから。陽南がいてくれれば、例え星が見えなくとも空の上、確かに零れる星を感じられるから。

 

そして思い出した、好きになった理由。

 

すごいんだよ、―――ヒナミだってすごいんだ!

 

それは普通だと思っていた自分を特別だと認めてくれたから。

 

「だからあの日から、ずっと特別だったよ! 陽南のこと!」

 

それは佑月も同じ。陽南が佑月の中にある特別を見つけてくれたから。

 

あの日、恋に落ちたのは日南だけではなかった。佑月もまた恋に落ちていた。そして彼女の恋は、まだ続いていたのだ。

 

この作品はやり直しの物語である。離れていた二人の少女が運命的に再会し、お互いの知らなかった事を見つめ合い。そして心の中にあった想いをもう一度確かめ合う。そんな巨大な感情をぶつけ合いお互いに気付き合う、再燃する初恋の熱さ迸る、甘酸っぱくてこそばゆい、そんな青春のガールズラブコメなのである。

 

女の子同士の初恋が交じり合う、ものすごくデカい感情のぶつかり合いが見たい読者様。真っ直ぐな青春の中繰り広げられるガールズラブコメが読みたい読者様は是非読んでみてほしい。きっと満足できるはずである。

 

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