突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方はこの作品の作者であられる志瑞 祐先生の事はご存じであろうか。もしご存じでないという方は、精霊使いの剣舞という作品の名を聞いたことはあられるだろうか。
そう、MF文庫のファンタジー枠の金字塔であり屋台骨の一つである作品であり、アニメ化も成し遂げられている作品である。因みに私はあの作品ではフィアナが一推しであったがまぁその話は脇に置いておくとしよう。
さて、そんな士瑞先生が今現在MFで連載されコミカライズも達成されているこの作品は果たしてどんな作品なのだろうか。そう問いかけられたのならば私はこう答える。これは、士瑞先生の十八番の流れを継ぐ王道的なファンタジーであると。
主人公であるレオニス(表紙左)は魔王である。圧倒的に強大な力を振るい暴虐を尽くした魔王であり、未来に起こるであろう決戦に備えて自らを封印した存在である。
しかし、彼が目覚めたのは千年後、全てが変貌した世界。魔法がその存在を失い、生物の身を穢し歪める未知なる敵、「ヴォイド」へと武器の形を取る異能、「聖剣」で立ち向かう、彼にとっては全くの未知なる世界だったのである。
そんな世界で彼と出会い、保護する事になったのは聖剣使いの卵であるリーセリア(表紙右)。彼女もまた、レオニスと同じくこの世界に馴染めぬ事情を抱えた者であり。
その二人が出会って齎されるのは新たな日常。そして、新たな戦いの日々だった。
子供として見られているから一緒にお風呂に入る事になったり。リーセリア率いるチームに参加し戦う中で、彼女が自らの力である聖剣が目覚めたり。
そして、レオニスの前に立ち塞がるのは過去の残滓。あの日敵となり戦った英雄がヴォイドに侵され歪められた存在として襲い来る。
対し、レオニスが目覚めさせるのは女神から託された反逆の力。タイトルにもある通り、禁忌の力である魔剣の力。
「運命など、この手で蹂躙してくれる」
その姿、幼くなれどその心はあの日の魔王のままに。
正に王道にして痛快、熱さ極まる愉快爽快なファンタジーと言うべきこの作品。今巻だけ取り出してみればまだ始まったばかりの重厚なる存在が目覚め動き出したばかりと言わんばかりのペースであるが、これから大作へと成り上がっていく事が半ば約束されたこの作品だからこそ許されたペースか。
だからこそ、どうか画面の前の読者の皆様、特にファンタジーが好きな読者様もここから入ってきてほしい。きっと楽しめる筈である。