ブログを書き始めて約一月、故にまだまだ書き方が定まっていなかった頃の今読むと少し恥ずかしい前回の感想記事はこちら↓
さて、画面の前の読者の皆様に一つお聞きしておきたいのだが、前巻を読まれた読者様はあの騒動が前巻で終わったと思われるだろうか? 答えは・・・結論だけ言ってしまえば否、である。そう、SNS社会と言われるこのご時世、一度燃え上がった炎上の炎は簡単には消えないのである。
前回、期せずして自分達の本当の姿をさらす事となった夕陽とやすみ。言うなれば、今までのイメージという殻を自ら脱ぎ捨てた彼女達。そんな彼女達の前に現れ、強烈な罵倒を繰り出してくるのは仕事にストイックな先輩声優、めくる。そして三人目のウラオモテ少女である彼女に続き四人目のウラオモテ彼女、やすみの姉的存在である乙女。
先輩であり道の先を行く者達である二人が突き付けるのは、この声優という世界の一つの現実の姿。
それは、殻を脱ぎ捨てるのは簡単でもその殻を見てきた者達が確かに存在しているという事実。そして、その殻があるからこそ自分達がいれたのだという真実。
確かに、どんなアイドルだって一皮むいてしまえばどんな顔が隠れているか分からないし、ただ一人の女の子としての素顔だってそこにある。だけど、それを晒さぬ限り世間の目が見ているのはアイドルという作られた幻想の素顔なのである。
だからこそ、世界は夕陽とやすみの二人に厳しく、仕事だって回してもらえない。そして一度晒された素顔と情報は消えず、日常だって好奇の目に晒される。
事態に業を煮やした夕陽の母が声優人生をかけて突き付けるのは超難題、顔バレした今この現状で誰にも声を掛けられる事無く目的地まで辿り着けというミッションインポッシブル。
そこで炸裂するのは、ファン達の好きという愛。そして、夕陽とやすみの諦めたくないという本音。
そう、こんなのは彼女じゃないと批判するのは今までの好きという想いがあったから。そしてそれでも好きだと言えるのも、今も続く好きという想いがあるから。
そして、諦めたくない、諦めきれないのだ。例えどんな逆風にさらされようとこの胸に燃える炎は消せないから。そして、待ってくれている彼女がいるからこそ絶対に諦められないのだ。
「そのまま行け、ふたりとも―――ッ!」
そして、皆が背を押してくれるから。好きと言ってくれる人達がいるから今、前に進めるのだから。
この巻は言うなれば、前巻の騒動の本当の意味での後始末。そして、二人が本当の意味で進み出す事を告げる、真の意味での始まりが綴られる巻なのである。
故にこそ、前巻を読んだという画面の前の読者の皆様は是非読んでいただきたい。前巻にも増して燃え上がる熱は、きっと心を焦がしてくれる筈である。
show must go on. お楽しみはこれからだ。