読書感想:落ちこぼれ竜騎士、神竜少女(バハムート)に一目惚れされる

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は英雄と言うものに憧れた事はあるだろうか。どんな状況に置かれても、決して諦めたくないという夢を持った事はあるだろうか。

 

この作品の主人公、アルトもまた英雄になりたいという大きな夢を抱く一人の少年である。しかし、この世界においては有象無象の平民の一人であり、何の力も持っていないが故に弱い少年であり、持ち合わせた正義感故にいじめを止めたら、貴族のボンボン共の苛めの標的とされ様々な方向から苛めを受ける事になってしまった少年なのである。苛めの内容は割愛とする。

 

しかし、過酷な状況に置かれても彼はその優しさと正義感を失ってはいなかった。その未熟だけど高潔な心に一目ぼれしたのが、神竜バハムートの娘であるヒロイン、ユスティーナ(表紙)である。

 

彼女のアプローチは大胆苛烈、その一言に尽きる。アルトに一目ぼれし彼が通う学園に転校生として押しかけてきたかと思えば、苛めっ子共をあっという間に駆逐し、彼を覆う闇を一瞬にして晴らして、全てを真っ新にしてしまう。

 

そんな零となった環境の中、目覚めるのはアルトの押さえつけられていた無限の可能性。

 

竜に騎乗する訓練においては同じ目線で語り掛け、一瞬で分かり合い。

 

竜の枷と特製栄養ドリンクを用いた特訓の末、一足跳びに一気に力を身に着けて。

 

そう、彼は持ちえなかったのは可能性発露の機会だけだった。だからこそ機会があれば、あとは目覚めるだけだったのである。

 

「逆らうさ!」

 

ユスティーナを傷つけられそうになり、まるでマグマのような怒りを発し、踏み出してトラウマを乗り越える。

 

「決着をつけるぞ」

 

初めてできた親友を人質に取ってくる、外道な苛めっ子を自らの手で下しトラウマを振り払って。

 

「俺は竜を、友を信じる」

 

竜に恨みを抱くテロリストが変じたドラゴンゾンビを初めてのユスティーナとの共同戦線で蹴散らして見せて。

 

そう、この作品は踏みにじられていた少年が心の殻もトラウマも打ち破り、英雄へと踏み出す作品であり、彼に寵愛を向ける竜の少女が、時に聖女のように、時に師匠のように、時に相棒のように彼と共に並び立ち支える、王道の熱さと逆転の面白さに満ちたよく作られたファンタジーな作品なのである。

 

逆転の面白さ、熱さを味わいたい読者様は是非。きっと満足できるはずである。

 

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