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さてさて、心の声を無条件に受信してしまうヒロイン、那緒とその能力を何故か阻害できる主人公、北斗というほんのちょっぴりSFなラブコメであるこの作品。続刊である今巻では、冬へと季節が移っていく中でどんなラブコメが繰り広げられるのか。
今巻の主軸は、那緒の迷惑な能力を解決するための唯一の手段の明示と、そこから二人がもだもだとすれ違うもどかしい恋模様である。但し主に悪いのは北斗ではある。
ではその方法とは何なのか。それは、能力を阻害できる人間が能力を持つ人間にキスをするという事。それにより、阻害できる人間の心の声は聞こえてしまうが、他の声は聞こえない事となる。(イメージ的には疎外能力の一部を譲渡する事で受信能力に封印をかける感じだろうか?)
その方法を聞き、俄然やる気となる那緒。しかしそれを聞いた北斗は他の方法はないのかとヘタレてしまう。
ここまで来て何故ヘタレるのか。心を読まれるという環境を既に心から受け入れている状況なのに、何故その一歩が踏み出せないのか。
それは、この時点における那緒と北斗の覚悟の違いであるのかもしれない。
心を読まれる状況を受け入れ、何処か心の奥で彼女に惹かれている自分を感じていた北斗。
対し、那緒は既に恋を自覚し、それどころか一生彼の側にいる、そこまでの決意を固めていたのである。
だがしかし、恋を自覚し腹を決めてしまえばあとは踏み出すだけである。
自分と同じく阻害能力持ちで、那緒の事を追いかけてきた少年、星川。しかし那緒の心にはすでに北斗がいた。だからこそ星川はいい加減素直になれと、北斗へと那緒を託し身を引いていく。
「俺は、如月那緒さんのことが好きです」
覚悟を決め、彼女の想いを受け止める言葉を今告げて。
「これからもずっと、私の隣にいてくださいね」
受け止められた彼女は、隣のキミであたまがいっぱい。その事実を彼へと話して、これからも一緒、それが当たり前と信じているからこそ素直に告げる。
もどかしさと悶々、その先には約束された勝利と甘々があるのである。だからこそ、そこを乗り越え辿り着いた先の甘さをどうか見届けてほしい。きっと最後のシーンで胸がいっぱいになる筈である。
でもどうか、一つだけ願っていいのなら。どうか、もう少しだけあの二人と仲間達の日常が拝めますように。