前巻感想はこちら↓
もう君達、早く結婚してくれませんか結婚式場は読者一同で見繕うので(突然の壊れた発言)
さて、今更言うまでもないと思うがこの作品の主人公、戒理と那乃は付き合っている。恋人同士である。知らない方は今すぐ前巻から読んでみてもらいたい。
ではもう付き合いだしているという、ラブコメであれば一つの始動点は過ぎているが時に終着点ともなるその点を通り過ぎている、この二人についてここから何を描いていくのか?
ここで画面の前の読者の皆様に思い出してほしい事が一つ。ラブコメというのは極論すれば主人公とヒロインの二人の世界のお話であり、二人の世界が形成されるからこそラブコメと言うのかもしれない。が、しかしその世界は狭く、二人の世界の外には周りの人達によって形成される大きな世界があるのである。
そう、大きな世界である。その世界から見た二人を描いているのがこの巻なのである。
今巻で初登場、那乃の年上の親友である美々華。親友を取られるという無意識の嫉妬に気付かず戒理を見極めてやると放課後の二人の時間に乱入し。そこで見たのは那乃をきちんと大事にしている、ちょっと不思議でズレているけれど素敵な彼氏の姿。
「アタシはなにを見せられてんだ?」
思わず飛び出した、読者の代弁とも言えるその言葉。
戒理が異世界に行く前の友人、バスケの神童、御堂筋。あの日のように彼と共にコートを駆けて。その中で見たのは、彼の事を一番に見ている、誰よりも彼を大切にしている彼女の姿。
「戒理のこと・・・・・・よろしく頼むな」
あの日を振り切るように、彼は彼女に彼を託す。
そんな、傍から見ればちょっと不思議な二人の姿を描きながら、戒理と那乃の二人はゆっくりじれじれと距離を詰めていく。
異世界の少女に那乃が呪われ、解呪の為に密着したり。
戒理をどきどきさせる為、那乃がちょっと大人な下着に手を出したり。
手を繋ぐ、名前で呼ぶ。ただそれだけの事に四苦八苦したり。
もう甘い、甘すぎる。そう言うしかない。だが更に深まりを増したこの極限の甘さが昨今のラブコメ戦国時代の中でも一つ抜きんでた面白さを持っているのは確かの筈である。
「・・・・・・いーです?」
さぁ、衝撃の終幕、一歩更に大人の扉を開けようとしている二人はどこへ向かっていくのか。この甘さ、是非とも前巻から続けて読んでほしい。是非とも読んでみてほしい次第である。