読書感想:嘘嘘嘘、でも愛してる

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嘘。そう一口に言っても、世界には様々な嘘が存在し、その中には優しい嘘だってあるもので。では画面の前の読者の皆様、貴方はこの作品のヒロイン達の嘘を見た時、貴方は何を思われるだろうか。

 

主人公であるくー助君は普通の高校生。しかし彼は記憶喪失である。何故なら交通事故にあったから。

 

そして思い出した重要な記憶の欠片。それは表紙を飾るヒロイン達三人の中に、自分を交通事故で殺そうとした相手がいるという事だ。

 

彼女達三人は何かを隠している。そして彼女達はうそつきである。では、彼女達は一体何の嘘をついているのだろうか。

 

女友達であるという雪縫霙(表紙右)がついている嘘。それはくー助の事が大好きであるからこそついてしまった小さな嘘。何もかもが真っ新になってしまった今だからこそつける嘘。

 

では彼女と彼女がついた嘘とは何であるか。それこそがこの物語の根底に根差した恋という感情から来る嘘なのである。

 

色町紙織(表紙左)がついた嘘は、彼が好きだからついた嘘。大好きだからこそ、自らの手でついてしまった嘘。

 

だがしかし、騙されてはいけない。最後の一人、花屋敷花蓮(表紙右下)の嘘が明かされた時、全ては覆されるのだから。

 

恋心とはチョコレートじゃない。女にとって一番の劇薬だ。果たしてそう言ったのは誰か。

 

「この泥棒猫」

 

陳腐でありきたり、だけどこの言葉が今は恐ろしい。

 

だけど、「でも愛してる」なのだ。

 

彼を殺してしまったのは嫌いだからじゃない。死ぬほど、好きだから。

 

そう、恋とは綺麗で甘いだけのものじゃない。苦くて重くて、ドロドロとした濃密な感情でもあるのだ。

 

これはそんな、安っぽくなくて尊くもない、剝き出しの怪物性をぶつけてくるラブコメであり、嘘だらけの世界の中で恐らくだけどの真実を見つけ出す、根底は真っ直ぐなラブコメなのである。

 

ありがちなラブコメに飽きた読者様は是非。衝撃的な体験をできる筈である。

 

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