突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方はダンジョン攻略って憧れるだろうか。ではもし現実世界にダンジョンがあって、そこで実況動画でお金を稼げるとしたら、貴方は挑んだりするだろうか。
この作品の主人公の一人である魔王(表紙左)。彼は本物の異世界の魔王である。魔物の知識も相当にある、正真正銘の魔王である。
然し暇人である。それも相当に暇を持て余した暇人である。
その理由は自分の世界で暴れすぎたから。敵となる人間を抑圧しすぎて誰も挑まなくなってしまったから。
そんな魔王が暇つぶしと道楽の為にやってきたのは、日本の現実世界。
但し、この世界にはダンジョンがある。そして自分がダンジョンを攻略する様子を専用のドローンで撮影し動画サイトに投稿する事で再生数を稼ぎお金を稼ぐ、言わば冒険者版youtuber的な職業の者達がいるのである。
そして、その世界で魔王が偶々目を付けたのが駆け出し女子高生冒険者である志保(表紙右)。
彼女は駆け出しである。そしてお金もない、故に弱いし人気もない。
その彼女を魔王が教育する事になっていくのだが、その教育が半端ではなかった。
「年頃の娘なのだから身だしなみには気を付けるといい」
まずは難なく彼女の家に世話になり、見返りに彼女の家を手助けしついでに志帆を綺麗にして。
「動画内で変に気取るんじゃない」
一言申した後、一晩中動画を読み込んで研究し。
割とノリノリでお使いしたりしつつ犯罪者のアジトを壊滅させたりして。
本当にこの魔王が楽しそうというか日本での生活を謳歌している。
その彼が志帆に教えるのは、現実でも用意できる道具を活かしたモンスター攻略。
ゴブリンには、肉料理にも使われるアレがいい。
スライムには美容にも良いアレがよい。
ゾンビには洋食につきもののアレがよい。
この作品はそういう、意外なものを攻略に使っていきながらモンスターを倒していく作品であり、志帆と魔王の関西イズムに満ちた漫才めいたやり取りが腹筋を直撃してくる、真っ直ぐに真っ当なコメディである。
腹の底から笑いたい読者様、何かに疲れた読者様は是非。きっとお楽しみいただける筈である。