読書感想:妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル

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時代的な浪漫ってよくないですか(唐突な問いかけ)

 

さて、皆様は某大河ドラマで描写された大正時代に起きたかの地震の事は、歴史の授業で習ったことがあるであろうか。もしくはあの大河ドラマで登場人物達の運命を様々な方向に捻じ曲げる事となってしまった地震として知っておられるだろうか。

 

その辺りの部分は各個人で違うかもしれない。が、重要なのはこの作品の舞台がその時代であり、人の世は一度壊滅しているという事である。

 

が、しかし。人の世は幾度も変われど変わらぬものがある。それこそがこの世の住人でない者達が住まう幽世である。

 

だけどそんな常識が通用せぬ者達すらも驚かされ振り回すのがこの作品の主人公、雪緒(表紙右)である。

 

そもそも彼は本当に只の人間なのか、違うのか。皆様はあやかしと聞いて怖がられるだろうか恐れられるだろうか。それが普通の反応かもしれない。

 

しかし彼が普通ではない点は彼はあかやしを恐れないどころか、ただそこにいる隣人として、内心は人相応に驚いていながらも傍目から見るとそのままに受け止めているという事である。

 

だからこそ、予想とは違う反応に姫(表紙左)を始めとするあやかし達は戸惑わされ、気が付けば彼のペースに巻き込まれているのかもしれない。

 

そして彼の常人とは違う部分はもう一つ。それはあやかし達とも互角以上に渡り合える程に体術の達人という事である。

 

囚われた遊郭から脱出する為駆け出す雪緒、彼の前に立ち塞がった半人半馬は矢を素手で弾かれ投げられ、すぐさま制圧されていく。何を言っているのか分からないかもしれないがこれが本当の話なのである。

 

そしてこの作品は彼を始めとして魅力的な登場人物達が揃っており、ヒロインだけではなく彼を取り巻く男性陣もヒロインに負けじと魅力的である。

 

そんな登場人物達が大正時代の空気が溢れ出しているような、どこか浪漫を感じさせる舞台で所狭しと駆け回っている。これを面白いと言わずして何を面白いといえばいいのか、少なくとも私はそう思っている次第である。

 

独特の浪漫が好きな読者様、只者ではない面白さを楽しみたい読者様は是非。きっと楽しめる筈である。

 

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