読書感想:お前らどれだけ俺のこと好きだったんだよ!

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、今まで異性とお付き合いした経験はどれほどあられるだろうか。是非付き合う秘訣を聞いてみたい(今まで彼女がいたことがない真白優樹である)

 

さて、この作品の主人公である隆人(表紙右、見切れている方)はリア充であった。そう、過去形である。それは何故か。その理由は付き合った彼女に一週間で振られてしまったからである。

 

そんな彼を今度こそ手に入れようと動き出したのが一個下の後輩、白雪(表紙左)を含む三人の少女達だ。

 

白雪、くらら、乃愛。彼女達三人の共通点は何か。それは隆人と何かしらの関わり合いがあり何らかの関係を築いていた所で、いきなり胸に無自覚に宿っていた恋心を終わらせられてしまったという点である。

 

常に対等以上の関係を築いてきたと自負してきていた白雪は牙城を崩され、急な体調不良に侵され否応なしに好意を自覚させられ。

 

年下の幼馴染として、舎弟として彼を見ていたくららは、自分の居場所が奪われる予感に慄く程に。

 

初めて名を覚える事が出来たクラスメイトとして何故かかまっていた乃愛は、一週間も謎の体調不良に見舞われるほどに。

 

そう、正しくどれだけ彼の事が大好きだったんだと叫びながらツッコミを入れたくなるほどに彼の事が好きだったのである。

 

しかし、彼女達は恋愛脳という点においてはぽんこつだった、あまりにもぽんこつすぎた。

 

それぞれ事情を抱え彼の方から告白させるべく、それぞれの武器を活かした必死の策で迫る三人。・・・それが彼の内心に何を及ぼすかも知らずに。

 

この、作品の各所で発生する勘違いとすれ違いがこの作品の肝であり、面白い点であると断言したい。

 

疑心暗鬼な隆人の中で想起されてしまう三人の反応。そうとも知らず、こうなるという予想の元に繰り出される三人の心理を詰める一手。このボタンを掛け違えたまま進行するかのような会話劇と言える要素が、使い古されながらも真っ直ぐな面白さを出しているのである。

 

ここに重なるようにして面白さを出しているのが、ヒロイン達が隆人に助けられた際の心の動きである。

 

変な男に絡まれ助けられた乃愛は、確かな親愛と呼べる温かな気持ちに胸を揺らし。

 

ちょっとした色仕掛けを近い距離から繰り出したくららは、自分を気遣う彼の気持ちを嬉しく思い。

 

そして白雪は。

 

「お前がお前自身を好きでいられたら、それでいいんじゃないか?」

 

彼の何気ない言葉に気付かされてふと微笑んでみたり。

 

正に真っ直ぐなラブコメであり、こってこての王道だけどそれだからこその面白さと、すれ違いと勘違いの面白さが両立されているレベルの高いラブコメである事を私は保証したい。

 

安心できるようなラブコメ、何の不思議要素もないこってこてのラブコメが読みたい読者様は是非。心から満足できるはずである、きっと。

 

 

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