読書感想:この男子校には俺以外女子しかいない

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様に想像してみてもらいたい。貴方は男子校に通う男子高校生であり、今目の前の教室では男子である級友達がそれぞれ談笑していたりとする。

 

ではもし、目の前の景色が全ての幻想だったら? 貴方が見ている級友の姿が全て偽りの姿であったとしたら?

 

そんな何を言っているんだというしかない状況に巻き込まれているのはこの作品の主人公、傑である。そう、実は彼の通っていた高校は男子(だんし)校ではなく男子(おのこ)校と読む共学の高校であり、しかもとある事情により女子が男装して過ごしているため実質的には女子校といっても差し支えない。

 

それでは困る主人公の傑。その理由は何故か。それは彼が厄介な体質とも言えるあるアレルギーを抱えており、そのせいで中学時代にトラウマを抱えているからである。

 

そんな彼の周りに集ったのは三人の男装美少女、伊織と忍、そして千尋。彼等を中心に面倒だけど真っ直ぐで生々しくて熱い感情がぶつかり合うラブコメが展開しているのがこの作品である。

 

勘違いとすれ違いからこんがらがり、だけどこの胸にある好きという感情は嘘ではないから。

 

「俺には、ほかに好きな子がいるからだ! だから、つきあうことはできない!」

 

トラウマもアレルギーも乗り越えてそんな真っ直ぐな青春の未成年の主張かましてみせる、これこそが青春。この取り返しのつかない一瞬を駆け抜けるのが正に未成年の青春なのである。 この叫びに込められた感情が如何程のものか、是非確かめてみてほしい。

 

長々と語ってきたが最後に一言、堀流先生の前作のような糸がこんがらがる錯綜ラブコメが好きな読者様には是非読んでいただきたい。きっと満足できるはずである。

 

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