さて唐突ではあるが、画面の前の読者様の中で男女の友情が成立しないと思う読者様はこの作品で常識を壊されてください。こんな女友達欲しかったと血涙を流す読者様は一歩前へ出てください、私と握手いたしましょう。
女友達、それは男の場合だと性別が違うけど仲が良い友達。でももしそんな友達が自分ととことん趣味の合う友達だったら? そんな女友達の究極形、ジュン(表紙右)がヒロインなのがこの作品である。
何処の友達が週五日家に入り浸って際どい態勢でゲームするのか?
何処の友達が一緒に添い寝したりするのか?
これで付き合ってないってどういう事だろうか。
そんな私達読者の疑問に答えを返すのが主人公であるカイの友達論なのである。
どうか246頁から始まる彼の気付いた論理に耳を傾けてみてほしい。
そう、私達は何処かで恋人関係こそが最良だといつからか思い込んでいたのかもしれない。
確かに言われてみると、恋人関係って特別である。だけど特別だからこそ、そこには様々な柵が付きまとい、周囲からの様々な目が向けられる。
よく考えるとそれって窮屈じゃないか?
では友達なら? 友達ならどうなんだろうか。
そう考えてみると、キス等を除く一般的なスキンシップって友達同士でも出来るとは思えないだろうか。別に彼氏彼女の関係にこだわらなくてもならば良いのではないか。
彼女はとっても魅力的、それは自分が一番よく分かっている。女を感じる時だってないわけじゃない。
だけど恋人は面倒くさい、夫婦はもっと面倒くさい。
じゃあ一番いいのは友達なのではないか。ちょっとちゅうぶらりんで危うく見えるかもしれないが、一番何も背負わず気楽にいれるのも友達なんじゃないだろうか。
それが彼の結論であるなら、画面の前の読者の皆様はどう答えを返すだろうか。返す答えは胸の中にあるだろうか。
どうか読者の皆様、この作品を読む時は考えながら読んでみてほしい。新感覚の中に深い問いがある面白さがある読み応えを味わえる筈である。