読書感想:女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、割と重めの性行為アリアリのまるでお互いに溶けていくような百合が好きな読者様がおられたら恥ずかしがらずに一歩前へ出てください。この作品をお勧めするので。

 

さて、モテ系今時女子鞠佳(表紙右)が級友のミステリアスな女子、絢(表紙左)に墜とされていくこの作品。まず何が凄いかと言うと本筋で描かれているのがほぼ二人っきりの世界という事であろうか。例えば渋谷や新宿にお出かけしたり、絢の家を訪ねたり。だけど何処に行っても余人を交えぬ二人っきりの時間と世界が描かれる。だからこそより濃厚な描写が凄まじいのである。

 

二つ目に凄い点は絢の愛の重さであろうか。まず言ってしまおう。彼女は不器用な普通の女の子である。そして鞠佳をずっと遠くからでも見てきた、心配してきた。ずっと恋焦がれてきた。だからこそ、まるで巣に捕まえた獲物を糸で雁字搦めにした蜘蛛が少しずつ獲物を溶かしていくような調教も、彼女の本心を知ってしまうと彼女の魅力に本当の意味で気付けるのである。

 

そして、三つ目の凄い点としてはやはり鞠佳の心の移り変わりが繊細に、そして濃厚に描かれている事だろう。

 

「やっぱりこいつ、あたしとなにもかも正反対。ぜったいに合うわけがない」

 

百日目の始まりは彼女は虎だった。

 

「ほんっと、キモい。女同士とか、マジでそんなの、ぜったいに・・・ぜったいに」

 

百日の途中、絢の浮気を疑い飛び出した時。誰も聞いていないのにその先が言えなかった。彼女の牙は気付かぬ間にこっそりと抜かれていた。

 

そして。

 

「大好き、すっごく好き。本当に好き。好きだよ」

 

霧が晴れ空と海に挟まれた水平線が見えた時、せき止められた感情が雪崩出て溢れ出したのは尊い、只一つの思いだった。そう・・・牙を抜かれた虎は猫になったのである。

 

その後はもう語るまでもないだろう。愛を確かめ合った二人を遮るものは何もないのだから。

 

みかみてれん先生の渾身のハッピーエンドな百合、男女の恋愛ではないからこその尊さが溢れ出すラブコメを読みたい読者様は是非読んでいただきたい。

 

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