突然ではあるが画面の前の読者の皆様は、超強力な兵器片手に戦場を駆け抜けたいと思った事はあるだろうか。隠されていた巨大な兵器が目覚める興奮、圧倒的な敵との死闘が好きな読者様はどれほどおられるだろうか。
その究極形の形、生存率1%の過酷を極めた戦場が顕現しているのがこの作品である。敵の動力源から生み出された兵器を抱え、特殊な力を持った子供達が戦場へ飛び込み、散って逝くのである。
この作品が只の戦場系ラノベではない理由の一つは何と言ってもその救いのなさ、そして誰も彼もが死ぬ心構えが極まりすぎている事だろう。
戦場への片道切符、死地に赴く子供達を送り届ける運び屋の子供達。彼等は出撃する事が死に繋がる、生き延びる事など考慮されずその為に育てられ使い潰される。
だけど彼等はそれすらも納得し、覚悟の瞳で戦場に向かう。それは戦場を駆ける子供達も同じだ。
作戦の道半ば、そして作戦の大詰めで。主人公である陽一(表紙右)、その駒であるユズハ(表紙左)に全てを託し、最後に感謝し。戻れぬ覚悟を決め、それが最善であると心に決めて躊躇なく死の選択肢を選び取る。この戦場にいるのは兵士である、だけど彼等は確かに英雄であり、彼等の献身、そして生の叫びが木霊するからこそこの戦場は苛烈なのだろう。
そして只の戦場系ラノベではないもう一つの理由、それは敵たる機械の生物達が無機質な機械などでは決してないからだろう。
只の機械が人間を観察するだろうか。只の機械が非効率なパーツを採用するだろうか。
彼等は只の機械ではない。それは確かに人間から見れば歪で不気味だとしても、彼等の中には確かに信念と正義があった。だからこそこの戦場は互いの正義のぶつかり合いなのであり、信念があるからこそその可能性に賭けたくなる裏切り者がいてもおかしくないのだろう。
敵と味方、それぞれの信念がぶつかり合い命があっけなく散る無慈悲な戦場。そこへ貴方が飛び込んだとしたら生き延びれるだろうか。