読書感想:失格世界の没落英雄

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https://www.amazon.co.jp/dp/4040643240/?tag=a8-affi-287285-22&a8=7Fgz3FEfV26OEZh.hdIhFg696eAtaeB.YdImEZIZ6mrfV2g6w2BNa2BMwHTjRjBI0mUe.KgC0FgzXs00000009884001

 

突然ではあるが画面の前の読者の皆様は、今やHJ文庫の看板の一翼を担う押しも押されぬ人気作、「精霊幻想記」シリーズをご存じだろうか。

 

そして、北山結莉先生の作品の世界に入りたいけど、既刊15巻という長大さに断念してしまった読者様はおられるだろうか。

 

そんな読者様にこそお勧めしたいのはこのシリーズ、今まさに始まったばかりの失格世界の没落英雄である。

 

ヒロインは主人公の幼馴染と瓜二つの人造天使、リィエル(表紙参照)。主人公は大国の王子でありながら謎の組織に誘拐され全てを奪われた元王子、シオン。

 

そう、この作品はここまでからも分かっていただけたかと思うが北山先生の得意とするファンタジーである。

 

「そんなのは一緒に探せばいい!」

 

そして、唐突に全てを奪われ虐げられながらも大切な何かは失わず、前記した熱い台詞を言える真っ直ぐに格好いい主人公、シオンが無敵の鑑定の力で大活躍し、理不尽を押し付け縛り付けてきた敵組織をあっという間に壊滅させる。そんなヘイトを極限まで溜めてからまるで積み上げた積木を一瞬で崩すかのように一瞬で逆転する爽快感が重すぎる設定を絶妙に薄め丁度いい重さにしている、真っ直ぐに王道でだからこそ面白い物語である。

 

だからこそ多くの人に、これから北山先生の世界観に触れたい人に。王道ファンタジーが好きという読者様にこそ読まれてほしい物語である。

 

さて、脱出してみれば自分の偽物が自分として元の居場所にいるというこの不可解な状況をシオンはどう攻略するのだろうか。いつか偽物との対決という展開は北山先生の事だしある気はするのであるが。