読書感想:結婚が前提のラブコメ

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結婚って何だろう?

突然ですが画面の前の読者の貴方は結婚がしたいですか?

結婚したいという方にお聞きします、それは誰の為ですか、目的は何ですか?

 

発売前から某所で話題沸騰、既にAmazonでは人気となっているこの物語。私、真白優樹は作者である栗ノ原先生から新境地を目指したと言われ、ならば見せてもらいたいと心の中でハードルを勝手に上げていた。そのハードルは今日、いとも簡単に越えられた。

 

大人になると覚えてしまう汚い言葉、建前。結局の所見てしまうのかもしれないもの、それは相手の立場や年収といった外面。何故新境地なのか。既存のラブコメと何が違うのか。

その命題に関し、私は題名「結婚が前提のラブコメ」にこそ答えがあると思っている。

既存のラブコメの多くは高校生頃、つまりは年頃の子供達が主人公となるのは王道のパターンである。彼等は言うなれば未成年、まだ大人になっていない。だからこそ多感であり、まだ先がある。これからも続く人生がある。

 

だが、この物語の主役はいい年齢の大人達だ。

 

面倒な建前で言い訳をして、結局欲しがったのは外面だったりして。決して恋はきれいごとばかりじゃないと言わんばかりに見せつけられる、大人の恋の負の側面。

 

・・・だけど確かに恋をしている。何かに蹴飛ばされるように背中を急かされながらも必死に幸せを探してもがいている。

 

そんな彼女達に真正面から向き合いその恋の縁を繋げようとしているのがこの物語の主人公、縁太郎。

 

「牡丹。どう思う?」

 

自分にとって大切な事を否定された彼女に敢えて厳しく突き放して、だけど全部支えて。

 

「他のことは関係ねえ。言ったろ、‘‘なんとなく‘‘でいいんだ。お前の気持ちを口にしろ」

 

自分の気持を見ないフリをしようとしていた彼女の心をこじ開けて本音を曝け出させて。

 

『結婚させたいんじゃない。幸せにしたいんだよ』

 

母の教えを心の芯に、ぶっきらぼうで不器用で。だけど真っ直ぐ真摯に一人一人向き合う彼。そんな彼の周りにまるで家族のように集まる女性達。

 

過大評価だと言われようと私は言いたい、今、この時代に必要なのはきっとこんな物語なんだと。だからどうか読者の皆様、この232頁の中に濃密に描かれた幸せを求める彼等の姿を見てあげてほしい。きっと満足できるはず。私はそう保証する。

 

どうかこの物語が栗ノ原先生の描かれる完結の形まで導かれんことを。

 

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味わえなかった青春を求める不器用彼女、結衣か。

 

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貧乏だけど心は高貴、背をひっぱたいてくれる姉御、カレンか。

 

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自分の中の芯を真っ直ぐに、ひたむきに恋を探す牡丹か。

 

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聖母の如き包容力で母親のように見守ってくれるまひるか。

 

画面の前の貴方は誰と縁を繋ぎたいですか?