読書雑記:「GW特別企画」、真白優樹流ブログにおける感想記事の書き方なお話。

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こんばんは。連休も今日で終わり、明日から仕事という方も多いのではないでしょうか、真白優樹です。さて本日は、偶には後進を育成するというわけでもないですが、ラノベブロガーの方、自分の感想を叫ぶことが出来る方が一人でも増える事を願い、このはてなブログにおいての真白優樹流の感想の書き方について、お話したいと思います。

 

① まずは感想を書きたい作品を全部読もう。

 

ある意味当たり前かもしれませんが、まずはきちんと購入して読みましょう。他人の感想から作品のストーリーを想像して感想を書く、なんて事はしてはいけません。きちんと読む事が、良き感想を書く第一歩です。

 

② 作品のストーリーの流れと場面の変遷、登場人物の人間関係を頭に入れよう。

 

これは感想を書く上で重要な事であると私は思います。ストーリーの流れと起承転結、登場人物の人間関係。作品中ストーリーの説明をする際はここを自分の言葉で説明できると、芯に迫った感想が書けると思います。

 

③ 感想を届けたい読者層を意識した言葉遣いを意識しよう。

 

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例えばですが、こちらの作品の帯の裏面を見た事があるでしょうか? 小学生や中学生の方々の率直な感想が記されています。その感想を見た時、画面の前の貴方は幼稚と笑うでしょうか。ふっと笑うでしょうか。

 

だが、確かに大人の感想と比べれば語彙力もない未熟な感想かもしれません。ですが、この作品の感想はそれで良いのです。

 

例えば、私の普段の感想のような捻った、ルビも何も振っていない感想で面白さが青い鳥文庫のメイン読者層である筈の小中学生に対して届くでしょうか? きっと届かない筈です。だからこそ、真っ直ぐに何のてらいも捻りもない感想の方が共感を得られるでしょう。故に、感想記事を読んでいただきたい読者層、面白さを届けたい読者層を意識する事は大切なのです。

 

④ 主観はいらない、客観だけあれば良い。

 

個人的には、割とこれが重要なのではないかと思います。

 

無論、画面の前の貴方の主観は尊い物です、大切にしていただきたいものです。ですが、その面白いという感情は必ずしも万人に共通するものでしょうか? 例えば、某とある魔術の禁書目録、人気シリーズですね? 万人が面白いと思われるからこそ、人気でしょう。ですが、面白くない、つまらないと受け入れない読者の方もおられるかもしれません。

 

そういう方々に主観の面白さを押し付けても、意固地になり受け入れられない事もままあります。ならば客観的に説明し、興味を惹いてみた方が受け入れられるかもしれません。なればこそ、感想において客観性は重要なのです。

 

⑤ 作品に込められた面白さ、作者様が伝えたい見所を理解しようというお話。

 

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例えば、この作品に込められた主軸は「喪失からの再生」です。

 

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例えば、この作品に込められたテーマは「いつも通りを求めて、成長していく」ことです。

 

と、このように作品には作者様が伝えたいテーマ、面白いと感じてほしい所が存在します。そこを捉え、少しでも言語化する事。これが一番大事であり、良き感想を書く為の第一歩であると思います。

 

⑥ 作品に対する敬意を忘れずに。

 

否定の形でも、肯定の形でも。作品に対する敬意、それを忘れずに感想を書きましょう。

 

⑦ 感想は攻め込むのではなく、説明して誘う事を意識する。

 

では、感想を書く際にはどんなスタンスであるべきか。例えばボクシングのようにジャブで崩し、ストレートを何回も叩き込み、最後はアッパーで決める。それもまた一つの形であるかもしれませんが、それでは押しつけがましい形になってしまうかもしれません。

 

それよりは、例えばショーケースの前ですらすらと説明し、最後は虜にして購入へと誘う。それくらいの方が良いと思います。

 

⑧ 良き語彙力は全てから。

 

最後に、豊富な語彙力を身につけるにはどうすれば良いのか。それは簡単です。例えば本。ラノベだけではなくお固い小説にはラノベとは違った言葉遣いが溢れています。ニース番組にだって言葉遣いがあります。言うなれば全てが教材です。故に貪欲に、接した全てから吸収する事。それが一番大事です。

 

いかがでしたでしょうか? 真白優樹流感想記事の書き方でした。内容を追加したくなったら追加するかもしれません。では画面の前の読者の皆様、恐れずまずは一本書いてみましょう。困ってしまったら先人の書き方を参考にすればよいのです。何なら悪意のない使い方であれば、私の感想はいくらでも真似してくださって構いませんので。

 

読書雑記:発売日前恒例、新刊紹介なお話。富士見ファンタジア文庫編。

再びこんにちは。梅雨の季節はラノベの水濡れに注意いたしましょう、真白優樹です。さて本日は梅雨と緊急事態への憂鬱を少しでも軽減したいので、今週木曜日発売予定の富士見ファンタジア文庫の新刊の中から、このブログでピックアップ予定の作品についてお話したいと思います。

 

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・放課後の聖女さんが尊いだけじゃないことを俺は知っている

 

・著:戸塚陸先生 絵:たくぼん先生

 

ではまずは一作品目はこちら。前に富士見ファンタジア文庫で、俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。シリーズを手掛けられていた戸塚陸先生の新作となります。既にtwitterで公式アカウントも出来ている力の入れようですが、果たして今度のラブコメはどう攻めてくるのか。楽しみですね。

 

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・初恋を応援してくれる幼なじみとのラブコメ

 

・著:神里大和先生 絵:Sage・ジョー先生

 

二作品目はこちら。富士見ファンタジア文庫で幾つかのシリーズを手掛けられていた神里大和先生の新作です。初恋の人か、幼馴染か。この三角関係の行方が楽しみですね。

 

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・闇堕ちヒロインを幸せにする計画 ~魔本使いの少年と予言≪首切り姫の絶望≫否定~

 

・著:上川景先生 絵:マニャ子先生

 

三作品目はこちら。富士見ファンタジア文庫で、撃ち抜かれた戦場はそこで消えていろシリーズを手掛けられていた上川景先生の新作となります。王道的なファンタジーの香りが致しますが、果たしてどんな作品なのか。楽しみですね。

 

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Vtuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた

 

・著:七斗七先生 絵:塩かずのこ先生

 

四作品目はこちら。小説投稿サイト、カクヨムで人気の作品の書籍化となります。私も原作は読んでいますが、三日間ほぼ潰す程に大爆笑しながら一気に読んでしまいました。果たしてどんな旋風を巻き起こすのか。楽しみですね。

 

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・【朗報】 俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。2

 

・著:氷高悠先生 絵:たん旦先生

 

五作品目はこちら。このブログでも取り上げ、今絶賛大人気のシリーズの最新刊となります。来る夏、来るのは新たなトラブルの予感。果たしてどんな展開を見せてくれるのか。楽しみですね。

 

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・スパイ教室05 ≪愚人≫のエルナ

 

・著:竹町先生 絵:トマリ先生

 

では最後の作品はこちら。このブログで記事にいたしているシリーズの最新刊となります。今度は最強のスパイチームとクラウスの身柄を巡り対決との事で、果たして落ちこぼれ達はどう戦うのか。楽しみですね。

 

以上、期待の六作品でした。ではまた発売日になりましたら読んでいきましょう。

 

 

 

読書雑記:発売日前恒例、新刊紹介なお話。ガガガ文庫編。

こんにちは。そろそろ梅雨の季節、更には緊急事態宣言。ちょっと最近憂鬱さが増している真白優樹です。では本日は、そんな憂鬱さを少しでも吹き飛ばすべく、今週火曜日発売のガガガ文庫の新刊の中から、このブログでピックアップ予定の二作品についてお話したいと思います。

 

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パパ活JKの弱みを握ったので、犬の散歩をお願いしてみた。

 

・著:持崎湯葉先生 絵:れい亜先生

 

ではまず初めの作品はこちら。独特の世界観と、癖のある登場人物を描くのを得意とされている持崎湯葉先生の新作です。今流行の一つの年の差ラブコメですが、新感覚のラブコメとの事で果たしてどんな作品となるのか。楽しみですね。

 

 

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・現実でラブコメできないとだれが決めた?3

 

・著:初鹿野創先生 絵:椎名くろ先生

 

二作品目はこちら。このブログでも感想記事にしてきましたシリーズの最新刊となります。ラブコメと言えば生徒会長選挙。果たしてこの定番イベントをどう料理してくるか。楽しみです。

 

以上、少し少なめですが今月の二作品でした。ではまた発売されましたら、読んでいきましょう。

 

読書感想:カンスト村のご隠居デーモンさん2 ~拳聖の誓い~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:カンスト村のご隠居デーモンさん ~辺境の大鍛冶師~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想にてこの作品の趣旨は十分に分かっていただけただろうと思う。この作品は、カンスト村に住まう英雄達に導かれ、英雄の卵達が成長していく物語である。だが、それだけではない。カンストした者達は本当に成長しないのか? カンストした者達だって成長しない訳が無いのである。

 

師匠は弟子を導き成長させるもの。だけど、それだけではない。弟子だって師匠に影響を与え、成長させるものなのだ。

 

 では、成長させられる師匠は誰か。それは、この村の神父であるブルドガング。伝説的なモンクでありながらも破門された破戒僧である。

 

 前巻の騒動の後に訪れた平穏な日々。けれどそれは長く続かなかった。

 

 まるでかの騎士団長のように、唐突に村を訪ねてきた者。その名はザザ。ブルドガングのかつての弟子であり、モンク最強の八人の候補者に名を連ねる実力者である。

 

何故ここに訪れたのか。その答えは、ブルドガングが所持する伝説の鎧の一つ、「竜胆」を譲り受ける事。しかしその目的は、愛する兄弟子に鎧を上げるという、思わず口があんぐりと空いてしまいそうな色恋目的だったのである。

 

それだけであれば、ブルドガングだけで話は止まっていたであろう。だが、話はそれで終わりはしない。何故か彼女が纏っていた伝説の鎧の一つ、「鳳仙花の鎧」は強力な呪いを受けていた。しかもその呪いは、何故か解呪出来ず、それどころか呪いに詳しい筈のポーリオンですら匙を投げるほどの面倒に過ぎる呪いだったのだ。

 

破魔の中に呪いを宿す、しかしその呪いは簡単。一体どういう事なのか? 厄介事の決意を感じながらも公爵はギルメウスをモンクの総本山に送り出す。

 

その裏、語られるのはブルドガングの御伽噺。何故彼は竜を殺すという偉業を成し遂げたのに追放され、ここに流れ着いたのか?

 

 それは、自分達の居場所であった総本山の目と鼻の先で暴れていたドラゴンを、戒律を破って倒したから。教えを守る事に固執する上層部の意向に逆らってしまったから。

 

「モンクの教えがヌシを否定しても、吾輩は何度でも言おう。ヌシは英雄である。ヌシに救われた命は、今どこかで笑顔に満ちておるはずなのだから」

 

「ヌシは、間違っておらぬよ」

 

だが、まるで八つ当たりのように強者達を打ち倒し。行く当てもなく流離うままに、まるで獣のように生きていた彼を公爵だけは認めてくれた。だからこそブルドガングはこの村に居ついたのだ、公爵の側で、人を救えるように修行したいと願って。

 

その彼の前、状況は急転を迎える。ザザが辿り着いた一つの納得のいく仮説。モンクの総本山そのものに何か異変が起きていると言う可能性。そして、ザザに開祖の生まれ変わりであるという運命を感じ、彼女の相棒として契約した新たな魔装具、バロビュートは確かな確信を以て言う。開祖の鎧が何者かによって盗まれている。その者のどす黒い念により加護が汚染されていると。

 

 彼等の目の前、奪われた開祖の鎧を纏った真犯人が姿を現す。その名はアルマ。ザザが惚れ込んでいる兄弟子にして、理想の救世への狂気に囚われた者。

 

彼の圧倒的な強さにヨートは傷つけられ、それを目撃した公爵は怒り狂い圧倒的な力を解放する。

 

 だが、それだけはさせてはならぬ。彼の全てを崩させてはならぬ。なればこそ、今こそ彼を救う時。それこそが彼の「救世」。

 

「怒りに飲まれて人を殺しちゃいけねぇ。 それでは貴方が救われねえ!」

 

必死の決意で拳を振るい、公爵の目を覚まさせるブルドガング。

 

「最初から最後まで私はモンク。私は! 私の救世をするの!」

 

 そして、彼の目の前で。あの日の幼子であったザザは己の救世の覚悟を示し、彼女だけの技を目覚めさせ、兄弟子を救い出して見せる。

 

そう、ザザは正に今、新たな英雄として覚醒したのだ。歩き出したのだ。そして公爵に私淑していたブルドガング。 公爵という「英雄」の「弟子」であった彼もまた、追いかける者から見守る者となる。一人前となって、恩人である公爵にようやく並び立てたのだ。

 

前巻にも増して圧倒的、それほどまでに王道なファンタジー的面白さがある今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、、やっぱり王道ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

カンスト村のご隠居デーモンさん2 ~拳聖の誓い (GA文庫) | 西山暁之亮, TAa |本 | 通販 | Amazon

 

読書感想:パワー・アントワネット2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:パワー・アントワネット - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、続刊は無いと思ってた読者の皆様、マリー様に懺悔の筋トレ、腹筋背筋腕立て伏せ50回1セットを3セット捧げましょう。大丈夫です、私も後で捧げて参ります。

 

と、言うわけでまさかの続刊である。それもこれもこの作品がそれだけの人気であるという事であり、それだけ、彼女の筋肉(と書いてフランスと読む)が受け入れられていると言うことである。


では、一体今巻ではどんな筋肉旋風が巻き起こされるのだろうか?

 

 

その答えは二つ。今巻で描かれるのは過去と未来。過去、それはマリーの嫁入り前、筋肉溢れる花嫁修業。未来、それは革命より一年の後。新たな武闘会、そこにて相まみえる新たなる戦士との激闘である。

 

その名はナポレオン。某FGO等でご存じの方も多いであろうし、そうでなくとも歴史の授業で習った方も多いであろう。かの雄々しき英雄にして、マリ―とはついぞ出会わなかった存在である。

 

 しかし、この作品におけるナポレオンは筋骨隆々の偉丈夫であり、兵と書いて舎弟と読む者達から慕われるアニキ的存在であり。そして失われしローマの武術を用い、「真実の口」を武器として戦う戦士である。

 

はい、何を言っているんだと思われる読者の皆様、どうかツッコミはご勘弁願いたい。正にそういう事である。この作品だからこそ、描かれる英雄の新たなる人物像と言うやつである。

 

「ああならなきゃ、ならねえんだ。俺は! 俺は臆病者だった!」

 

革命が未然に防がれ開かれたパレード。そこで目撃した、マリーの圧倒的バルク。そこにあったのは自分にはない全て。自分は勇気も覚悟も、何よりバルクも足りなかった。それを自覚したその時、ナポレオンの恋は始まる。そして、本当の意味での漢としての道は幕を開ける。

 

 その道は、革命より一年後。新たに開かれた、国民も参加できる武闘会にてマリーと交わる。 バリー夫人すらも打ち倒し。準決勝まで残った他の戦士達も逸る心で打ち倒し。期待に胸膨らませるナポレオンの目の前。あの日憧れたバルクは、マリーは堂々と立ち、自身と全てを賭けて相対する。

 

「なるほど。素敵だわ貴方」

 

マリーにとって、ナポレオンは理想。彼女が求めたすべては、ナポレオンという一つの結果へと結実していた。

 

「マリー様! 是非とも俺と魂を賭けた闘争を!」

 

「いいわ。その闘争、お受けいたしましょう!」

 

 だからこそ、真正面から堂々と。お互いの魂を賭け、何よりも譲れない者を賭け。身分なんて関係ない、一人の戦士として目の前の強敵と。ここに繰り広げられるのは、筋肉と筋肉のぶつかり合う激闘。そして、革命の先にあるからこそ、凄惨さもなく真っ直ぐな誇りを以て繰り広げられる、正しく筋肉の祭典な死闘なのである。

 

かつてはおてんば娘だったマリー。だが、母であり神の如き筋肉を持つテレジアからの教えを請い、心技体全てを身に着け、その全てを今度は正しい誇りを以て振るう。

 

だからこそ熱い。本気で、健全にぶつかり合うからこそ。今巻は前巻よりも更に熱く、一種の爽やかさすら持った面白さがあるのである。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱり筋肉が好きな読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

パワー・アントワネット 2 (GA文庫) | 西山暁之亮, 伊藤未生 |本 | 通販 | Amazon

読書感想:午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 デートをする、同じ時間を過ごす、キスをする。その先へ進む。それはラブコメにおける神話であり、使い込まれたと言う表現が似合うかもしれない、星の数ほどの恋人同士が辿ってきた道程である。なればこそ、全てのラブコメはそこに帰結するのだろうか。そこに帰結するのを良しとするのか。それとも、神話を否定するのでもなく自分達だけの恋人同士としての在り方を見出すのか。それはラブコメにおいての一つの命題と言えるのかもしれない。

 

この作品の主人公である旭と、ヒロインである夏菜子も今まさに恋人同士となったばかりの二人である。

 

「その上で、旭くんはわたしとどうお付き合いしたい?」

 

が、しかし。付き合い始めてすぐの大切な時期。二人はいきなりのすれ違いの危機を迎えていた。それは何故か。その理由は、旭と夏菜子の付き合い方への考え方の違いである。

 

恋人同士の神話であるような普通のお付き合いを望む旭。それを良しとせず、神話に則らない付き合い方をしたい夏菜子。

 

一体どちらが正しいのか。悩む二人だけのトクベツは「ベランダ越しのお隣同士」。が、しかし。その特別を打ち消す程に二人は様々な問題へと見舞われる。

 

狂信を抜け出し自分の態度を反省したつばきが、旭をデートに誘って来たり。

 

大型休暇、恋人同士にとって一番燃えるであろう時期に、旭が家族旅行に出かける事になってしまったり。

 

だが、そんな日々の中にも特別がある。二人だけにしか出来ぬ特別と、恋人同士としての初めてを学べる、神話に近づける機会がある。

 

旭とつばきのデートを目撃する夏菜子の心の中、沸き上がったのは初めての嫉妬。

 

旭と同じ旅行先へと、同じように家族旅行で出かけた夏菜子。旅行先でも変わらぬ、けれどちょっとだけ違う、ベランダ通しのわずかな距離で積み上げる時間。

 

「―――僕と先輩には、この時間がありますから。僕と先輩だけのこの場所が。僕と先輩だけのこの世界が」

 

 そして、一生懸命に考えた旭は一つの答えを見つけ出す。恋人同士の神話に倣うだけではなく。自分達だけの道を進むだけでもなく。二つを重ねて進んでいく、二つを重ねてもっと濃密な時間を過ごすという答え。それを繋ぐのは、二人だけのトクベツな世界。この世界から全てが始まった。だからこそ無くしたくない、なればこそ全部を取っていくと言う、彼と夏菜子だからこそ出来た答え。

 

恋人同士としてすぐにいちゃつくのではなく、二人だけの答えを探していく。初めてを積み重ね、二人でひざを突き合わせて。その果てに、我慢の殻を壊して距離をもっとゼロに。そこまで緻密に、丁寧に進むからこそこの作品は甘く、正に業の深い純愛を描いていると言えるのである。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱりラブコメが好きという読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの2 (電撃文庫) | 岩田 洋季, みわべさくら |本 | 通販 | Amazon

 

読書感想:豚のレバーは加熱しろ(4回目)

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前巻感想はこちら↓

読書感想:豚のレバーは加熱しろ(3回目) - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 清楚な完璧美少女が俺を豚呼ばわりしてくる、美少女と豚の嬉し恥ずかしラブコメ珍道中、はーじまーるよー。

 

はい、思いっきり滑っていると自分でも思っているしネタに振り切り過ぎて後悔しているので画面の前の読者の皆様、ブラウザバックだけはご勘弁願いたい。ついでに言っておきたいが私生活が忙しすぎて心がぶっ壊れた訳でもないので安心していただきたい。ではいきなり何故こんなことを言い出したのか、というと今巻のストーリーラインが大体そんな感じなのである。

 

王朝に反旗を翻していた悪い魔術師を撃破し訪れた、今までで一番の安寧。今までの疲れを癒さんとするかのように、どんな願いもかなえると言う「赤き願い星」を目指し、北へと向かい旅をする、我等が主人公の豚、そしてヒロインであるジェス。

 

「いいですね、私もやってみたいです! らぶこめ!」

 

旅路の中、豚のふとした言葉の中からラブコメというものに興味を持ち。魔術を用いてスク水や学生服といったコスプレ姿を披露してくれて。目の保養をしたり、萌えたり。一人のオタクとして狂喜乱舞したりする中、豚とジェスは北へと向かう中で様々な謎、そこに隠された真実に触れていく。

 

大屋敷に最近現れるという幽霊の噂、そこに隠されていたのは不器用な交流。

 

温泉に固執する領主がわざと晒している秘湯、そこに隠されていたのは震えるような領主のたくらみ。

 

何もしないのに林檎が沢山実るという妖精の伝説がある平原、そこにあったのは一人の男のいつまでも続く弔い。

 

様々な真実に触れ、時に人の心の温かさに笑み、冷たさに震えて。それでも何処までも笑顔で、豚とジェスは旅を続けていく。

 

 

・・・ダケド、ナニカワスレテイナイダロウカ? ナゼフタリハタビヲシテイルノカ? ナニカ、タイセツナコトヲワスレテハイナイダロカ?

 

そう、前巻の最後の展開を覚えておられるだろうか。覚えておられるのであれば、この旅に何処か違和感を持たれたかもしれない。その違和感は気のせいじゃない。何も終わってはいないのだ。そして二人の関係は、一度終わってしまっているのだ。

 

何故豚は終わらせる事を望んだのか。あんなにジェスに慕われていたのに。彼の心の中に合ったのは尻込み。自分じゃ彼女の隣に並ぶには値しない、だから終わらせようとした。

 

「生まれなんて知りません! それに私は、豚さんが不釣り合いだなんて思いません!」

 

けれど、豚を引き留めたジェスは心の内を叫ぶ。

 

「私と一緒にいたいと、そう思わないんですか・・・・・・!」

 

悲痛に歪み、涙に汚れた顔で。それでも、と必死に。

 

その叫びは、ようやく本当の意味で豚の心を打ち。やっと覚悟を決めた豚とジェスの前、最終決戦の時は静かに迫る。

 

まだ、終われない。ここで本当の意味で最後にする。その戦いの果て、何が待つのか。

 

シリーズ読者の皆様、短編ミステリー連作が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

豚のレバーは加熱しろ(4回目) (電撃文庫) | 逆井 卓馬, 遠坂 あさぎ |本 | 通販 | Amazon

 

読書感想:楽園ノイズ2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:楽園ノイズ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

I call you rock. そう初めに言ったのは誰だったであろうか。それはさておき、杉井光先生の作品の十八番の一つは音楽ものであるというのは共通認識の元質問させていただくが、先生の音楽ものの作品の登場人物の共通点とは何であると思われるだろうか。

 

その答えは各自、心の中で考えていただくとして、私なりに答えを言うのならば「全力」という事であると私は思う。後先なんて知った事か、今この瞬間しかない。そう言わんばかりに、音楽に熱中し、心の叫びを歌に込める。それこそが彼等の、生の熱を引き出しているのではないだろうか。

 

 お分かりであろう、この作品の主人公達、真琴達もまた、今と言う一瞬を音楽に捧げ駆け抜けている。だがしかし、彼等はまだまだ子供である。親の保護下から抜け出せず、先を往った者達の背はまだ遠い。そんな道半ばの存在なのである。

 

二学期になり新たな曲を模索し、バンドとして本格始動を始める事になった真琴達。だが、厄介事の神様は彼等を気に入っているのか、はたまた悪戯の対象として見ているのか。次々と厄介事は舞い込んでくる。

 

クラシックしか認めない、堅物に過ぎる凛子の母親がバンド活動を認めないと彼女を転校させようとしたり。

 

両親の関係と親戚の集合から逃げた詩月を保護した彼女の祖父が、真琴を見初めて査定を持ち掛けて来たり。

 

 取り巻く環境との激突、自分達の我を通すべくあがく彼女達。そして彼女達の助けとなるべく、音楽の力で立ち向かおうとする真琴。そんな中、真琴の女装が決定してしまった学園祭が迫る中、彼等はとある大物音楽プロデューサーとメジャーデビューをかけて、勝負する事になる。

 

その名はキョウコ・カシミア。・・・この名を聞いて、何処かピンときた読者様もおられるのではないか? そう、「彼女」である。かつて仲間達を率い、世界を革命すべく音楽の力で世界に喧嘩を売った「先輩」である。

 

彼女に、誰一人として欠ける事無く認めてもらうために。皆で共にプロになるために。けれど真琴は尻込みしてしまう。心の中にある、自分にはまだ分からぬ覚悟とプロと言う世界への怯えに。

 

『何百万人も相手になんてしてないよ』

 

 そんな彼へと、キョウコは先を往く先達として、先輩として。あの日と変わらぬ口ぶりで言う。大勢の為なんかに歌う必要はない。この歌を届けたい、誰か一人の為で良い。その一人が集まって、この世界は出来ているんだからと。

 

そして、その言葉に背を押され。真琴はかけがえのない空白を受け入れ歩き出す。今この時、始まりの場所から歩き出し。当てのない空白へと、仲間達と共に踏み出して。自分達だけの歌という銃弾を世界へと叩き込む。

 

そこにあるのは激情だ。迸るほどに熱い思いだ。そして、たった一人。誰かへと向けた唯一無二の思いなのだ。

 

その歌は紙面を越え心かきむしる爪となる。心に撃ち込まれる銃弾となる筈だから。

 

どうか刮目して見てほしい。更に深め高まり、狂おしいほど燃やしてくれる熱が此処に在る。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり音楽ものが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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